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『カーデュラ探偵社』 ジャック・リッチー(著) 駒月雅子ほか(訳) 河出文庫
アナグラムと気づくまでもなく正体の分かる人外、なのに人間よりいっそモラリストな探偵の事件簿。
以前読んだときも感じたが、なんとなく原書にチャレンジしてみたくなる短編を書く人。
ベッド脇にでも置いておいて、寝る前の一服によい感じ(でも『くずかご』だけは悪夢見そうだけど(^^;))。

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LORD EDGWERE DIES by Agatha Christie (FONTNA/Collins)
何度もスーシェ版ドラマで見てる物語だったのですぐ読めるかと思ったら案外手こずった。こっちもドラマ化にあたって整理されて消え失せてる人物がいるんだなー。大筋はそのままだったけど。
犯人は、これもクリスティらしい犯人かと。最後の章の内容と、それに‘Human Document’なんてタイトルをつけてしまう著者はとても怖い人だ。あいかわらず。

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『ジョナサンと宇宙クジラ』ロバート・F・ヤング(著) 伊藤典夫(編・訳) ハヤカワ文庫
最初、読み始めてこれは気恥ずかしいどうしようと思ったが、『ピネロピへの贈りもの』『雪つぶて』あたりから印象変わりはじめ、『リトル・ドッグ・ゴーン』の主人公の性格設定と物語で、みごとにやられた。スタージョンを思いだした。もっともっと甘いけれども、それでも、孤独な人を書く人だと思った。
脳内イメージは筒井百々子という印象は変わらない。

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『酒楼にて/非攻』 魯迅(著) 藤井省三(訳) 光文社古典新訳文庫
前半四編が現代物、後半四編が故事新編。
立ち位置を定めることに迷いがある、というよりも、立ち位置を定めないようにしていた人という印象が残った。前半四編の女性たちの境遇や変遷と、それに対する主人公や周囲の人間の関心のなさをあからさまに書いている。改革期にとびぬけてもれだす格差。
後半。孔子のからかいっぷりと一方でのその上昇志向へのおそれぶりがあちこちにかいま見える。
もう一度『墨攻』を読みたくなった。墨子は、違う論理で動いている。これをふまえた上で、もう一度読みたい。

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『ひとりっ子』 グレッグ・イーガン(著) 山岸真(編・訳) ハヤカワ文庫
イーガンたぶん三冊目。
それぞれの短編の、最終的に行き着いたところ・見させられるものには心が動くのだけれど、そこへ行き着くために選ぶ道筋(手法)が、わたしがふだん選ぶものとはまったく違うので読みづらいのだろうかと今回気づいた。ハードだから、というだけの理由ではなくて。
解説で使われたザッハリッヒ(sachlich)という言葉に膝打った。

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『言の葉の樹』 アーシュラ・K・ル・グィン(著) 小尾芙佐(訳) ハヤカワ文庫
「正史」を持たずにいる文化の記録と保存について。膨大な、些細なメモや文章や、物語や、あらゆる語りを平等に扱い保存することについて。
外部から未知の文化に、どのように接触することがよりよい道なのか。
『ミスター・ピップ』でも強く感じたのだけれど、葬式は、出席者が自分と故人との物語を語り他者と共有することによって、故人の物語を整理し新たな面を知り、死者を思い出の中の生者として、「記憶の世界の物語の人」として生まれ変わらせるためにおこなわれるものなのかもしれない。

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『はなれわざ』 クリスチアナ・ブランド(著) 宇野利泰(訳) ハヤカワ・ミステリ
途中でトリックも犯人も真相も、わかるべきところでわかってしまった。なんかこの話はちょっと好きになれないな。なんだか全体になまぐさいというか。
地中海ツアーを楽しむイギリス人たちという設定の上に50年前の翻訳なので、当時日本ではなじみのあまりないイタリア料理名の日本語表記のしかた及びその訳注がなかなかおもしろかったです。

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DEAD MAN'S FOLLY by Agatha Christie
思ったほどオリバー夫人の活躍がなくてちょっと残念。もうこの本の時点でポワロは過去の人扱いされており、警察内部で「だいたいあの人もう年いくつなんだよ」「さあ…?」てな会話がされていておかしかった。
クリスティの描く母親や父親は、かわいそうだなとよく思う。

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『ミスター・ピップ』 ロイド・ジョーンズ(著) 大友りお(訳) 白水社
ディケンズの『大いなる遺産』を絡めた、ブーゲンヴィル抗争の只中にある島の現実と物語を描いた物語。
初恋の人、永遠の恋人みたいな思い入れのある本とか作家とか、そういうものを持っている人にはたまらない本だと思う。
ひとことにできない。読んでる途中経過はこのあたり↓
http://h.hatena.ne.jp/dadako/9236561346345732633
http://h.hatena.ne.jp/dadako/9236561346345732633
http://h.hatena.ne.jp/dadako/9234098465269461631
http://h.hatena.ne.jp/dadako/9234080881841031661
 
珍しく、強くオススメ。

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『エリザベス朝演劇集Ⅰ マルタ島のユダヤ人/フォースタス博士』 クリストファー・マーロー(著) 小田島雄志(訳) 白水社(

isbn:4560035113
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NHK芸術劇場で放送された『ファウスト博士の死』がとてもおもしろかったので、原作読んでみたくなり借りた。
この人はあくなき「欲望」にとりつかれた人間を書くのが大好きだったようだ。しかしわたしは、『マルタ島のユダヤ人』の主人公バラバスの、金銭欲と言うよりも復讐心(シャイロックにもっと根性があればこうなったと思うし、この方がわたしはやけくそで大好きだ)、『フォースタス博士』はなん…[全文を見る]

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BY THE PRICKING OF MY THUMBS by Agatha Christie
 
なんとなく↓が浮かんでしまった。
 
「子供叱るな 来た道だもの 老人笑うな 行く道だもの
来た道 行く道 二人旅 
これから通る 今日の道 通り直しのできぬ道」
 
映画『アガサ・クリスティーの奥様は名探偵』とグラナダのミス・マープル版『親指のうずき』の原作。実はミス・マープル版の方が真相はじゃっかん原作に近いことが判明。
……うっそぉ……

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『わたしの美しい娘ーラプンツェルー』 ドナ・ジョー・ナポリ(著) 金原瑞人・桑原洋子(訳) ポプラ社
『逃れの森の魔女』の時と同様、ほぼ一気読み。
執着は魔を呼び込んでしまう。力は、制御できない感情にも忠実にふるまい、自分でも思ってもいない結果を生みだしてしまう。
魔女はどうして魔女になることを選んだのか。素朴な願いが執着になってしまう、その哀しさ。
なかなかにぞっとします。そして、ほっとも、します。

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『木曜日だった男 一つの悪夢』 チェスタトン(著)南條竹則(訳) 光文社古典新訳文庫
江戸川乱歩版『ボートの三人男』と思ってしまった。もしくは地獄巡り。

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ENDLESS NIGHT by Agatha Christie
クリスティのあの本、の直後に読んだクリスティがこれってなんという皮肉。あれの裏焼きみたいな話。
邦題に『終わりなき夜に生まれつき』ってつけたのは拍手だ。光はそこにあったのに。

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『たったひとつの冴えたやりかた』ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア(著)浅倉久志(訳)ハヤカワ文庫
これも古典よむ部かしらん。何度も借りてみては後回しで手つかずになってた一冊。表題作ももちろんいい(映像化してもらいたいけど同時にしてもらいたくない!)んだけど、三話目の『衝突』がすごく好きだった。
イラスト、人気あるんかもしれないけど、好みではない。それが残念。

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『崖の館』佐々木丸美
本格、といっていいだろうミステリ。でも自分が好きか、続けて他の著作も読んでみたいかといわれると……中学生くらいの頃に読んでればちょっとはまったかもしれない。

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『鼻/外套/査察官』ゴーゴリ(著)浦雅治(訳)光文社古典新訳文庫
なんとなく、ゴーゴリ本人はまーったく小難しいことなど考えず、すごく無邪気に饒舌に、スラップスティックな世界を楽しんでいたような気がした。
諸星大二郎の絵でこの世界がみてみたいなー。

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DEATH ON THE NILE by Agatha Christie
おーテレビ放映に読了まにあったー。
大きなトリック自体は事件が発覚する前にわかってしまったのだけど、その他の細かな人間関係や描写がロマンス小説の人だなあと。ドラマチックな幕切れ。ポワロのイメージが金田一耕助とかぶります時々。

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『罪と罰』1~3 ドストエフスキー(著) 亀山郁夫(訳) 光文社古典新訳文庫
マルメラードフ登場のあたり読んでるときには、まさかエピローグで自分が胸ふるわせて泣くことになるとは考えもしなかった。
読んでよかった。
長い長い時間をおいていずれ再読する。

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ISBN:9784880862583 森雅裕(著) 成甲書房
新聞書評と著者インタビューを読んでから読んだのだけど、第Ⅰ章から第Ⅴ章までは、けっこう荒れた地域のコンビニでの一年ちょっとの夜勤アルバイト記。すさみようが赤裸々過ぎてちとびびるかも。同時に、著者がかなり頑ななタイプで客とのトラブルが多かったことに多少納得もしてしまったり。
ただ、最後の第Ⅵ章を、そしてラストの『結びにかえて』を読むとしょうがないのかもしれないとも思う。
できれば、この本に関する著者インタビューあるいは第Ⅵ章にざっと目を通して最初から読み始めることをお薦め。
著者は、インタビューで、「この本もどう増刷はされずすぐに絶版になってしまうだろう」と述べていた。
彼の絶望は深い。貧困問題と家庭や周囲との人間関係の断絶に興味ある方に。