わが子が病気であばた顔になったのが嫌で、生涯遠ざけていたという女王様がいたけれど
老いた父を疎む様子を見ていると「このひとは女王の血筋なのかな」という気がしてくる。
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父のことを語る
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はてこ母である最初の妻の消息を聞いて一言。
「いまもあのままの性格なんだろ。ほんっと人に譲らないからな」
パパもだよ。
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「宮崎の延岡と椎葉に行って用事を済ませ、平家ゆかりの宿を取る」
という話に着いて行った。
五時起き六時出発でカーブ連続の山道、崖脇林道を半日走り
九州一食べ物が美味しいと評判の宮崎県を昼食抜きで通過
飢えは試食の豆腐とお茶請けに出された漬物、ゼリーなどで凌ぎ
高速道路では筑豊ナンバーの威力を欲しい侭にし
父は10時間のドライブで九州半周600kmを日帰りで達成した。
父はまだ高速道路が十分整備されていなかった時代に
「福岡から宗谷岬まで24時間以内に車で行けるか」
という賭けを通りすがりの酔っ払いとして、勝ったことがある。
父とのドライブは小旅行ではなく行軍なので
家族は誰も父の長距離ドライブに付き合いたがらない。
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運転中に話しかけるなと娘をきつく戒めていたのに、眠ろうとすると話し掛けてくる。
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「寝ててもいいぞ」
40km/h制限の山道で100km/h出してる車じゃ寝られません。
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「おまえ、facebookに俺のこと書いてたろ」ニヤニヤ
残念、それは囮だ。
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facebookでよく奢ってやっている美容師を発見。
「俺が連れて行ってやった店の写真何枚も出してる」
と得意げに言っていたが、画像には
「あたしのフカヒレ♪」
「大将今日もすてき!」
など自腹でいきました風のコメントが添えられていた。
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「おまえもやってるんだろ、facebook」
と言いながら娘の名前で検索するも発見できず。
「やあね、お父さんったら。旧姓で検索したって出ないわよ」
と思ったけれど黙っておいた。
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「政治家もすなるfacebookを始めてみたが、該当人物を出すにはどうするのだ」
というので教えてやったらすぐさま息子のアカウントを探し始めた。
おのれよくも謀ったな。
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株の話をしていた娘に「やめとけ。おまえに射幸心は合わない」と言って来た。
「シャコウシンってどういう意味?」
と無邪気に聞き返したらなんだかたいそう落ち着かない様子ではっきりしない。
その場で検索してwikiを見て、意味を知った。
なるほど株を賭博だと思っているんだなあと思った。
わあ、知らない単語だ、さすがにお父さんは物知りだなあと思って聞いたんだけど
「え、なにそれいまどき射幸心ってw 死語の世界ww」
と言われたように感じたらしい、いつまでも若い世代でいたい父であった。
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一枚だけステーキ肉があったら妻子を後にしてもちおに食べさせる程度に婿ラブ。
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子どもの頃住んでいた家はお化け屋敷みたく心霊現象が絶えず、今はお寺の駐車場になっている。
「あのさ、子供の頃住んでた家の前にカラタチの林があったでしょ?」
「ああ」
「あそこに塚があるって言ってたよね。あれって何の塚だったの?」
「あそこは、刑場だったって、言われてるんだよね」
八墓村的なものまで覚悟していたが父の回答は想像を上回っていた。
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「九州最大の心霊スポットと呼ばれる神社に連れて行ってやる」と言って宮崎まで出掛けた。
到着すると直前で「これ入れておいて」と500円玉を娘に握らせ、川沿いの岩場を全力で逃げた。
膝が悪く日ごろ歩行に苦労している人とは思えない速さだった。
ちなみに感触としてガチスポットだった。
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継母ちゃんが甥介1歳にねだられて野菜ジュースを飲ませた。
「え~!飲ませちゃったの~?」
「だって飲みたいって言うんだもん」
「え~」←何がいけないというわけじゃないけどとりあえず文句言う
「ヤノマミ族は、ジュース飲ませちゃいけないんですか?」←父
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前髪を自分でおかしな具合に切った継子を「シャバンテスのヤノマミ族」と呼んでいる。
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わさび菜を3㎏(段ボール箱2箱)買い込み、醤油、酒粕、梅酢、塩漬けなど作り、勢いで甘酒を作ったと自慢していた。
いいぞ、やれやれ。愛読誌も「LEON」から「暮らしの手帳」に乗り換えるんだ。
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Amazonのおかげで現在映画はレンタルしないで買っちゃう派。
外れてがっかりなのもかなりある様子。
「itunesでレンタルすればいいじゃない。返さなくていいよ」
「めんどくさい」
「わたしは外れると『こんな映画に出資しちゃったよ!』って思うと悔しいからやだな」
「いい女だなと思ってつきあったらそうでもなかったってことはいくらでもある」
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「50周年記念なんだ、これまででいちばん撮影に金かけたんだって」
とうっきうきしながら007 スカイフォールDVDを買ってきて、甥介が寝るのを待ってみじろぎもせずに観ていた。
観終わって
「最悪だ。シリーズ再開って聞いたとき俺はすぐ記念時計なんかも買ったんだ。
007っていうのは少年の夢なんだよ。世界の危機に向かっていく映画なんだよ。
婆さん恨んで追っかけまわすなんてそんな身内の喧嘩は当人同志でやれよ。あれは007じゃない。
甥介じゃないけど『あーあっ!』だよ。『あーあっ!行っちゃった!』だよ」
と悲痛な表情で痛く怒っていた。
「ジェームズ・ボンドって行ったら誰も知らない最新兵器を操る男なのになんだ、あの戦い方は」
初代ボンド世代にとって若者と電子機器が苦手で体力が追い付かない007なんて認められないんだと思う。
嫁と対立して孫を抱けない不二子ちゃんみたいな。
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ジャケ買いした政治経済ビジネス書を娘婿に下賜したげる風に押し付けるのがブーム。
/父