こんばんは。ようやく戻ってまいりました。
うささん、どうもありがとうございます! ではではどうぞお楽しみに☆
- ---『夢のように、おりてくるもの』 第二部 「階梯と車輪」 17話------
彼が視線をもどす。麦茶を啜るわたしの顔を凝視する。いまにも溺れそうなひとの目をしていた。縋りつかれたほうが話は早いと感じて可笑しくなった。また、そんな理由で「夢使い」の研究を始めてしまう男がいる事実に驚いていた。わたしがそれで彼をどう思うのか考えたことがないのだろうか。
「あなたがたは」
わたしはそこで言葉をとめた。複数形にして、事を曖昧にするの…[全文を見る]
うささん、どうもありがとうございます!
はい、来週くらいからやっと、やっと(笑)このはなしが彼らふたりのものだったんだっていう感じになると思います
このへんからの緩急の有り様と重量感にはそれなりに手応えあるので(←よく言った!)
乞う、ご期待☆
-----『夢のように、おりてくるもの』 第二部 「階梯と車輪」 12------
翌朝、わたしの顔を見ると同時に、おまえ家かえって寝ろ、と店長が顔をしかめた。夕方シフトに間に合うように来い。今日はシゴトはいってないだろ。頷いたのを確認し追い払うように片手をふった相手に頭をさげた。徹夜がこたえたわけではなく胃が痛む。気づいてみると、依頼人である彼女の極めてプライヴェートな事柄を教えてしまったのだ。知られなければいいという問題ではない。しかもその理由はまたしてもわが身可愛さにあって、誰のことも大事にしていない。じぶんの感情に振り回され…[全文を見る]
-----『夢のように、おりてくるもの』 第二部 「階梯と車輪」 8------
彼女のアパートの玄関前に「標し」を立てた。視界樹の黄金と銀の枝木を二本、並べた。これにより、今夜ここに「夢使い」が寄宿しているとわかる、仕事中の看板のようなものだ。昔は縦に銀木(ぎんぼく)、横に金木(きんぼく)を渡した大きな「階梯」を設えたそうだ。次第に簡略化され、いまでは一尺ほどの枝木を使うだけのものとなった。とはいえわたしの師匠は三尺の枝木を、その祖父は屋根をも越える立派な「階梯」を立てたという。それは組合の資料館に納められたというはなしだが、わた…[全文を見る]