- ---『夢のように、おりてくるもの』 第三部「夢の花綵(はなづな)」夢うつつ夢うつつ 12-----
雪が舞っていた。
俺は金の入ったバッグを抱えて公園のベンチに腰をおろしていた。端末は家においてきた。書き置きも残していない。このまま俺が消えたら彼はどうするだろうと考えた。
いや、俺はもう何処へも行けない。
あの男と寝た。
数日前は泣いて拒み通したというのに、自分から誘った。好くしてやると囁かれ、俺はそのとおり狂ったように悦んだ。
相手が彼でなくとも、俺は楽しめるのだと知った。
信じられなかった。いや、あのときもソファに押し…[全文を見る]
/花うさぎ