「室町無頼」垣根 涼介
・ピカレスクでビルドゥングス、爽快感と少しの甘さがよいです
・最近気になる室町時代の下克上以前の暗黒っていうか混沌っていうか胎動っていうかが舞台なのですが、わかりづらさはないです(室町ダークネスが薄いかも)
・映画やドラマだと、時代背景が描き込めないかもなので、大河にすればいいのになぁ!私は暁信が好きです
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「〆切本」
面白かった!
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「消滅世界」村田沙耶香
・会話とモノローグがほとんどなので、あっという間に読めます
・純文学がSF的設定をもってくると、こうなるよなぁというかんじで、ふーんって読んでいたのですが
・うわぁ………
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「子規のココア・漱石のカステラ」坪内稔典
・あんぱんを乗り越えたら、あとは平常心で読めました
・作品集ではなく、ご自身の手になるエッセイの中で、若い頃から執筆期の句までを、やはりご自身での解雇とともに読めるというのは、面白いなぁと思いました
・子規、漱石、他の俳人の句や、現代詩も出てくるのですが、さらっと書いてあって、句も日常と地続きのところにあるのだなぁと思ったりしました
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「私の「漱石」と「龍之介」」著者:内田百閒
既に亡くなった方の思い出を語る、その語りの中にも時間を経て、ご本人の老いもあって、記憶の欠けがそこここにある切なさ
誰かが誰かを語る時に、ふっと立ち上ってくるその人の姿と言うのが、何か一瞬一緒に幻を見ているような気持ちになる
時々差し挟まれる「地震でなくなった」「空襲で焼けてしまった」の言葉や、町や人の描写から、急にこの中にいる人々が遠のくのが何とも言えない気持ち
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「虞美人草」夏目漱石
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「夏目漱石を読みなおす」
小森陽一
・難しかったけど、面白かった
・小説読んでもわからないはずだわと思った
・文学論と、それを著すに至る歴史的背景の解説がとても面白かった
・ゼ とかで学べばよかった
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「活きる」余華
・日本軍撤退から、国共内戦、文革、現在を生きる一人のお話
・文章は平易で、主人公は自分を「平凡」というのだけれど、一日置いてじわじわくるかんじです
・確かに映画向き、観てみたいなぁ
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「流」東山彰良
・サービス精神満載。一つ一つのエピソードはアジア・台湾映画でよく観る切ない、ほろ苦い、チンピラでいっぱい。街もここもそこも映画に出てくる有名所で、作者は台北で生まれて育っているとはいっても、ある程度“わかりやすく盛り上がる場所”を選んで設定しているのかなぁと思いました。語り口も瑞々しくて、散りばめられた…というよりも、思いがけないところで絶妙に落としてくるユーモアもよかったです。
・エピソードがてんこもり過ぎ、語りが面白過ぎ、こういうところにこんなにボリュームを持たせて、このお話は一体どこへ行くのか?という疑問にハラ…[全文を見る]
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「仁義なきキリスト教史」架神恭介
・キリスト教史を成立から第二次世界大戦直前まで、仁義なき風に描いたエンタメ作品
・正しいかどうかは別として、思いもしなかった組合せや視点から構成されるお話が面白かった。こういう内容の専門書を読みたいなぁと思いました。でも、難しいんだろうなぁ。
・後半は駆け足になっている感は否めませんが、これ以上多岐にわたって長々と描こうと思ったら、それはマンガにした方がいいんじゃないかなぁ。面白かろうなぁ!
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「屋根裏の仏さま」 ジュリー・オオツカ
・いつもいつも声をひそめて、顔を寄せ合うようにしてしか、心のうちを語れなかった時代があったんだなぁ。それは、少女だったから、妻だったから、そして日本人だったから…と、理由は変わっているようで変わっていない。それ以外になれない理由で、そうせざるを得ないということ。
・悲しい、辛い場面よりも、そういう中でふと語られる優しい記憶に涙が滲みました。
・アメリカの人だって忘れたかったろうなぁ。それを掘り起こし、見つめることを、今も、どの国でもしなくちゃいけないなぁ。
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「耳鼻削ぎの日本史」清水克行
・耳削ぎ鼻削ぎという野蛮で残酷な行為が本当に?本当ならどうして?いつ、誰の命令で?行われていたか
・同様にわかりやすく、親しみやすい描き方で古代から江戸時代までの耳削ぎ鼻削ぎの変遷が語られています
・「各種資料の扱われ方」とか「◯◯史を研究する◯◯さん」とか、研究者のお仕事周りのことがちらほら書いてあるのも面白いです
・秀吉の朝鮮出兵についての最近の見直し意見について、短いけれど厳しく反論しています。時代の要請で歴史、事実が曲げられることに言及されるところが、これもまたこの時代が生んだ一文なんだなぁと思ったり。
・古代から明治維新までのアジアにおける日本の変遷がさらっと書いてあって、あぁ、そこのところが読みたいのだけどなぁ、何に書いてあるのかなぁと思いました
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「日本神判史」清水克行
・残酷に思える湯起請、鉄火起請が室町期に多用された理由を探る。資料の引用は少なめで、読みやすい。データも必要最小限でわかりやすい。
・昔の歴史書には、その当時の歴史感(学問とか宗教とか政治)が反映されていると聞くけれど、それらを覆したはずの半世紀も前ではない歴史学(つい最近まで教科書に載っていたようなもの)も、当時のものの見方に制約や影響を受けているのだというのが、そうかー…と。
・強権を発動は、絶対権力ではなくて、不安定な権力によってなされる場合が多い。また、一見「素朴に神意を求めている」ようでありながら、そこには様々な計算や駆け引きがある。権力者も民衆も同じ人間なんだなぁとも思いました
・作者の熱意以上に探究が「とっても楽しい!」という様子が清々しいです
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「スクラップ・アンド・ビルド」羽田圭介
・タイトルが秀逸。たった一言の「スクラップ・アンド・ビルド」のスクラップとビルドがいかに取り違えられているか、最後の最後に「あぁ…」ってそれまでの力がすっと抜ける。文章もごく自然に変わって、読み終わってよかったなぁと思いました。
・読んでいる最中は主人公の行動と、介護を巡る社会状況の記述がちょっと説明くさいというか言い訳のようにくどく感じられるのだけど、ラストまで来て、それが社会の一部、断片だとわかる。
・主人公はずっと家族の一員で、元々しっかりと「息子」であるんだろうなぁというかんじが最初からしているのだけど、それでも後半、血縁のもろもろに思いを致すところとか、決定的に「子供」であり「孫」であると思わされる一文に、はっとする。
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『走ル』羽田圭介
・自分の心と身体の響き合いの中で、今の自分の世界の広さを確認する様子が清々しくて、可愛らしい
・男の子を持つお母さんは、本当に大変だなぁ、こんなのが家にいるんだもんなぁ、とつくづく思う
・一緒にどんどん移動できる、心の動きも共有できる、文章で、そういう文章力を発揮しながら内省的なことはほとんど書かないで、こんなに青春
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『夜行』森見登美彦
〜ネタバレ〜
・いつものように出町柳に集合したりするから、主人公を大学生だと思って読み始めたら、30代の社会人で、はっとして、そう思えば文体も、ちょっとした会話も、いつもと違う…と読み進めると
・百物語のように進む怪談めいた話、虚実ないまぜで、確たるところがなく、ぞわぞわする…と思っていたら………
・ラスト近くで「あ!これは『太陽の塔』だ!」と思いました。一晩経って思い出すに、やはり底にあるのは『太陽の塔』だと思います。符合するところもいくつかあるし。ラストの「曙光」を見るに、そうだと思います。
・もちろん、そうではなく、もっと怖い話として深読みすることもできますし、「曙光」を拡大することもできる物語世界と構成になっています
・気に入らないのはイラストと、“のっぺらぼう”というところ。物語の繊細さと比べると、のっぺらぼうはちょっと雑なかんじがしました
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『コンテクスト・オブ・ザ・デッド』羽田圭介
・ゾンビものとしては元ネタありなのだけど、引用の加減に品の良さがあって、面白い
・さくっさくっと差し込まれるはっとするシーンや台詞の不条理さと軽さと本当のことに、おぉ…!って思ったり、そういう部分がとてもよかった
・タイトルでもう言っちゃっているけれど、ゾンビものでありつつ、語られているのはゾンビではなくて文化で、そこは「うん!うん!」なんだけど…着地点が私は「うーん…」となりました
・いろいろ考えるところがあって(いろいろはidページに書くけれど)、結論としては「この人は純文学作家さんなんだなぁ…」と、しみじみ思いました。この作品しか読んでいないのだけれど
・面白かったです
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「キッド・ザ・ラビット ナイト・オブ・ザ・ホッピング・デッド」
東山彰良
・ゾンビとハードボイルドがお好きな方にお薦め、とはいえ、それらを足した上でさらに新ジャンルみたいなかんじです。「ヒゲよ、さらば」のリアリズムを劇画化したような?
・続編なので、前作「ジョニー・ザ・ラビット」を先に読んだ方がいいです
・すーごい盛りだくさんで、脳内の映像化が全然追いつかなくて、たいへんでした
・パパ・ゲーテは、かっこいいやつ!
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「誠実な詐欺師」トーベ・ヤンソン
・北欧の冬、それも今年は特別雪が深い、僻地の村、その外れの森に佇む白い兎屋敷、ムーミンだったらファンタジーな舞台なのに、のっけから不穏で不穏で仕方がありません。何しろ、主人公の姿が世界に刺さったたった一つの棘のようなのです。
・犬はどうなったのかなぁ。
・登場人物3人が、とてもピュアで、でも、それは世の中に馴染めない、或いは成熟していないということなのかなぁ。脇役のリリィエベリやニィゴードの女主人を見ていると、そう思える。ひじょうに雑に言えば、自立の話なのかなぁ。自分の世界には他人はいなくて、他人…[全文を見る]
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「ジョニー・ザ・ラビット」東山彰良
・読んでいる間は繰り返しよみがえる幸せだった甘い思い出が辛くて辛くて
・ラビットを名乗ろうと、バニーを名乗ろうと、その違いを考えるベースが人間にとっての兎であるところとか。どれだけ自己を主張しようとも囚われている“人間に育てられた兎である自分”なのだけど、それって、ついこの間宇多田ヒカルが言っていた「自分は覚えていない、自分が自分になった時期という闇(この闇はダークなイメージではなく不明の時間帯という意味に変化します)」に似ているなぁとか。
・けれども、読み終わって一晩経つと、爽快さが押し寄せます…[全文を見る]
/読了