『マラフレナ』 アーシュラ・K・ル=グイン(著) 友枝康子(訳) サンリオSF文庫
読みながらずっと『ふるさと』の歌がぐるぐると頭を回ってた。これは故郷探しの物語だ。生まれ育った場所という意味の故郷ではなく、いつでも出発できまた帰還できる場所、としての。
だからエステンスカールが哀しかった。
読後、『罪と罰』も頭に浮かんだ。あれも同じ意味で故郷探しだったのかもしれない。
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Hercule Poiro's Christmas by Agatha Christie
もっとも殺人事件にふさわしくない、しかしありがちな時期としてのクリスマス。再会と邂逅の季節に起こった、血縁をめぐる殺人事件。
ラストの方、まるで横溝正史でも読んでるような展開でありました。
ぎりぎりNew Yearになる前に読み終わってよかった(^^;)
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読み応えありました。『杉の柩』も好きです。
最後にああいうふうに終わっていくと思ってなかったんで、なんというか、圧巻でした。
giftedの幸福と不幸というものを考えさせられました(『ガラスの仮面』のイサドラ・ダンカンのエピソードも思い出した(笑))。
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THE HOLLOW by Agatha Christie
「真相」以降が胸につきささるような展開だった。反則だっていいたくなるくらい、あるキャラのイメージが反転した。
最後の一行自体も、そこへの収束力もすごかった。A Pocket Full of Ryeだったか、あれのラストのミス・マープルをちょっと思い出したり。
同志のような組み合わせもあれば、補い合うような組み合わせもある。その両方を同時に保ちあえる相手が見つけられるほどラッキーな人間は、ほとんどいないんだな。
トミー&タペンスの人気ってそういうとこかもなあ。
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『アポロンの眼(バベルの図書館1)』 G・K・チェスタトン(著) 富士川義之(訳) 国書刊行会
最初の短編をのぞくと、残りはブラウン神父とフランボウがセットの短編集、のような感。
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『白魔』 マッケン(著) 南條竹則(訳) 光文社古典新訳文庫
うーんこれって怪奇短編なのだろうか。まあシャーリィ・ジャクソンをホラーというなら確かにこれもホラーなのだろうけれど。
基本的には、この短編集は魔女がひとつのテーマになってるかな。
しかし一方で一緒に収録されてる『生活のかけら』は、もう一つの世界とこの世界の混ざり合った散歩というか冒険というか放浪の描写にうっとりさせられた。怖さなどみじんもなく、わたしもあのあわいの世界に漂うように歩きたくなった。
もしかしたら魔女は、そのあわいの世界の象徴なのかもしれない。著者にとって。
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『突破論。』 KKベストセラーズ
job aidemの連載記事をまとめたものというだけあって、「サッカーという仕事」に対するプロとしての言葉が多かった。好きなことを仕事にすることの難しさや、プロになった直後の感覚、なんかが直截に語られてた。
フリューゲルスに関して語る選手も少なからぬ人数いました。
これもいずれ買いますです。
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『もの食う人びと』 辺見庸(著) 共同通信社
ものしらずの自分にとってはいろいろショックが大きかった一冊。特にこの本で扱われていた時代は、自分はまったく世界に目を向けていなかった頃だったので。
ユーゴスラビア関連の部分読んだ前後でグランパスが優勝して、なんか感慨にふけってしまった。
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『ピーナツバター作戦』 ロバート・F・ヤング(著) 桐山芳男(訳) 青心社
自分のもの知らずを反省・赤面することになった短編集。キリスト教モチーフの短編が多め。
『ジョナサンと宇宙クジラ』読んだときとじゃっかんイメージ変わりました。
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『カーデュラ探偵社』 ジャック・リッチー(著) 駒月雅子ほか(訳) 河出文庫
アナグラムと気づくまでもなく正体の分かる人外、なのに人間よりいっそモラリストな探偵の事件簿。
以前読んだときも感じたが、なんとなく原書にチャレンジしてみたくなる短編を書く人。
ベッド脇にでも置いておいて、寝る前の一服によい感じ(でも『くずかご』だけは悪夢見そうだけど(^^;))。
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LORD EDGWERE DIES by Agatha Christie (FONTNA/Collins)
何度もスーシェ版ドラマで見てる物語だったのですぐ読めるかと思ったら案外手こずった。こっちもドラマ化にあたって整理されて消え失せてる人物がいるんだなー。大筋はそのままだったけど。
犯人は、これもクリスティらしい犯人かと。最後の章の内容と、それに‘Human Document’なんてタイトルをつけてしまう著者はとても怖い人だ。あいかわらず。
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『ジョナサンと宇宙クジラ』ロバート・F・ヤング(著) 伊藤典夫(編・訳) ハヤカワ文庫
最初、読み始めてこれは気恥ずかしいどうしようと思ったが、『ピネロピへの贈りもの』『雪つぶて』あたりから印象変わりはじめ、『リトル・ドッグ・ゴーン』の主人公の性格設定と物語で、みごとにやられた。スタージョンを思いだした。もっともっと甘いけれども、それでも、孤独な人を書く人だと思った。
脳内イメージは筒井百々子という印象は変わらない。
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『酒楼にて/非攻』 魯迅(著) 藤井省三(訳) 光文社古典新訳文庫
前半四編が現代物、後半四編が故事新編。
立ち位置を定めることに迷いがある、というよりも、立ち位置を定めないようにしていた人という印象が残った。前半四編の女性たちの境遇や変遷と、それに対する主人公や周囲の人間の関心のなさをあからさまに書いている。改革期にとびぬけてもれだす格差。
後半。孔子のからかいっぷりと一方でのその上昇志向へのおそれぶりがあちこちにかいま見える。
もう一度『墨攻』を読みたくなった。墨子は、違う論理で動いている。これをふまえた上で、もう一度読みたい。
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『ひとりっ子』 グレッグ・イーガン(著) 山岸真(編・訳) ハヤカワ文庫
イーガンたぶん三冊目。
それぞれの短編の、最終的に行き着いたところ・見させられるものには心が動くのだけれど、そこへ行き着くために選ぶ道筋(手法)が、わたしがふだん選ぶものとはまったく違うので読みづらいのだろうかと今回気づいた。ハードだから、というだけの理由ではなくて。
解説で使われたザッハリッヒ(sachlich)という言葉に膝打った。
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『言の葉の樹』 アーシュラ・K・ル・グィン(著) 小尾芙佐(訳) ハヤカワ文庫
「正史」を持たずにいる文化の記録と保存について。膨大な、些細なメモや文章や、物語や、あらゆる語りを平等に扱い保存することについて。
外部から未知の文化に、どのように接触することがよりよい道なのか。
『ミスター・ピップ』でも強く感じたのだけれど、葬式は、出席者が自分と故人との物語を語り他者と共有することによって、故人の物語を整理し新たな面を知り、死者を思い出の中の生者として、「記憶の世界の物語の人」として生まれ変わらせるためにおこなわれるものなのかもしれない。
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『はなれわざ』 クリスチアナ・ブランド(著) 宇野利泰(訳) ハヤカワ・ミステリ
途中でトリックも犯人も真相も、わかるべきところでわかってしまった。なんかこの話はちょっと好きになれないな。なんだか全体になまぐさいというか。
地中海ツアーを楽しむイギリス人たちという設定の上に50年前の翻訳なので、当時日本ではなじみのあまりないイタリア料理名の日本語表記のしかた及びその訳注がなかなかおもしろかったです。
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DEAD MAN'S FOLLY by Agatha Christie
思ったほどオリバー夫人の活躍がなくてちょっと残念。もうこの本の時点でポワロは過去の人扱いされており、警察内部で「だいたいあの人もう年いくつなんだよ」「さあ…?」てな会話がされていておかしかった。
クリスティの描く母親や父親は、かわいそうだなとよく思う。
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『ミスター・ピップ』 ロイド・ジョーンズ(著) 大友りお(訳) 白水社
ディケンズの『大いなる遺産』を絡めた、ブーゲンヴィル抗争の只中にある島の現実と物語を描いた物語。
初恋の人、永遠の恋人みたいな思い入れのある本とか作家とか、そういうものを持っている人にはたまらない本だと思う。
ひとことにできない。読んでる途中経過はこのあたり↓
http://h.hatena.ne.jp/dadako/9236561346345732633
http://h.hatena.ne.jp/dadako/9236561346345732633
http://h.hatena.ne.jp/dadako/9234098465269461631
http://h.hatena.ne.jp/dadako/9234080881841031661
珍しく、強くオススメ。
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『エリザベス朝演劇集Ⅰ マルタ島のユダヤ人/フォースタス博士』 クリストファー・マーロー(著) 小田島雄志(訳) 白水社(
)
NHK芸術劇場で放送された『ファウスト博士の死』がとてもおもしろかったので、原作読んでみたくなり借りた。
この人はあくなき「欲望」にとりつかれた人間を書くのが大好きだったようだ。しかしわたしは、『マルタ島のユダヤ人』の主人公バラバスの、金銭欲と言うよりも復讐心(シャイロックにもっと根性があればこうなったと思うし、この方がわたしはやけくそで大好きだ)、『フォースタス博士』はなん…[全文を見る]
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BY THE PRICKING OF MY THUMBS by Agatha Christie
なんとなく↓が浮かんでしまった。
「子供叱るな 来た道だもの 老人笑うな 行く道だもの
来た道 行く道 二人旅
これから通る 今日の道 通り直しのできぬ道」
映画『アガサ・クリスティーの奥様は名探偵』とグラナダのミス・マープル版『親指のうずき』の原作。実はミス・マープル版の方が真相はじゃっかん原作に近いことが判明。
……うっそぉ……
/読了