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全然違うんだけど、諸星大二郎の『不安の立像』も思い出したです。

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The Mysterious Mr. Quin by Agatha Christie
くわどらさんのオススメだったんで手に取ったんだけど、最後あまりのことにショックが大きかった。何度かsecond handという言葉が気になってはいたんだけど、確かに。
ジョナサン・キャロルや山岸凉子や西澤保彦の暗いやつとかにはまるわたしには、確かにおおはまりだったのではあるのですが。
オブザーバーは人生に復讐されるのね。

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『情事の終り』グレアム・グリーン(著) 田中西二郎(訳) 新潮文庫
「いま読んでる本」にも書いたけれども、前半で苛立ったのが、第三部でひっくりかえった。このタイトルとこの前半から、まさかこんな、信仰と愛と憎しみについての物語が描き出されるとは思っていなかった。感情が盛り上がってではないと思うが、気づくと泣いていた。
人格のないものを、人間は愛することも憎むこともできない。個人にとって意味のある存在するものとして認識することもできない。信仰の対象となるものを、自己にとって意味ある個の存在とする、その過程。
シャマランの『サイン』を思い出した。愛そうが憎もうが、その存在を信じていることには変わらない。悔しいことに。

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SOMERSET MAUGHAM'S BEST STORIES  RAIN/RED by SOMERSET MAUGHAM (講談社英語文庫)
グロテスクな2編。モームにとって生きることはしばしばグロテスクそのものに見えたのだろうか。
物語自体は、一見陳腐で先も見えてしまうのだけれど、陳腐であるが故になおいっそう絶望の度合いは深い。
思い出は変わらない。変わらないから、変わることを必至とする人間は、思い出に、変わらないものにしがみつく。
人生はグロテスクなものだと自覚でき、そこから抜け出すことを決意し、実行できる者は幸せだ。
実行できたことを祈る。

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『大転落』 イーヴリン・ウォー(著) 富山太佳夫(訳) 岩波文庫
タイトルは、ユニコーン『大迷惑』みたいなイメージで(笑)
でもこっちはもっとのんきよ、本人。
正座して昆布茶かなんか飲んでたら、あれよあれよという間に座布団の下が坂みたいに傾いて、正座の形のまま地下に運ばれちゃって、でも事態をよく把握しないままぽかんと口をあいてたら、また勝手に上に戻される……みたいな話。ここまで徹底的に巻き込まれ型の主人公も珍しいんでは。
……なんか最後のピーターがちょっとかわいそうだったわ。マジで。アラステアもほんとはピーターみたいだったんかもな。

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“And Then There Were None” by Agatha Christie
だんだんミステリーというよりスリラーになっていく物語。エピローグの出し方がうまいというか、ああ、さすがロマンス作家だなあ。そしてこの犯人像よ。クリスティお得意のタイプだと思う。

『箱の中の書類』 ドロシィ・セイヤーズ(著) 松下祥子(訳) ハヤカワ・ポケット・ミステリー
なんか殺したくなるほど嫌な気持ち悪い女が複数出てくる話で、奥歯ぎりぎりかみしめそうに。ぐわああ。
ラストの解決の部分が、化学をろくにやんなかったわたしにはものすごく難しかった。前半の手法は小説ならではなんだけど、ラストの部分だけ、「映像」で見たい。たぶん、すごく劇的でかっこいい。

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『〈時間SF傑作選〉 ここがウィネトカなら、きみはジュディ』 大森望(編) ハヤカワSF文庫
タイトルが魅惑的で借りた。
解説で書かれてた「時間SF好きの日本人」に漏れず、わたしも時間SF好き。時間SFにはミステリとか舞台裏ものを読むのと同じ感覚がある、ような気がする。
「観察」する感覚。
短編集最後を飾る表題作は、一瞬の決意が、流れすべて、過去も未来も現在も変えてしまい、未知の体験を作り出すことを示していて、とても好きだった。

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“Miss Marple's Final Cases” by Agatha Christie
ミス・マープルものの短編集のはずなのに、なぜかノンシリーズのホラーっぽいのがふたつ入っている(^^;)
ミス・マープルくらいの階級の女主人とメイドの関係や社会的意味があるていどわかってから読んだせいか、ちょっと違う視点で読めた。ミス・マープルの、自分のところで勤めたメイドに対する思い入れとか。
他にも読んでないマープルものがあるんでまだまだ読みます。

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『スティーヴンソン怪奇短篇集』 河田智雄(訳)
怪奇小説7篇。うち『死骸盗人』『びんの小鬼』はなんか他の短編集で読んだことあった。
ヘンリー・ジェームズ絶賛の『ねじけジャネット』もおもしろいけど、わたしには『マーカイム』が一番おもしろかったかな。訳者あとがきにもあったけれど、わたしもやはり読んでいて、『罪と罰』が頭に浮かんだ。あれがもっともっと短時間に起こっていく話だ。あれは良心だろうか?わたしは神だと思う。

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『図説 英国メイドの日常』 村上 リコ (著) 河出書房新社
ウッドハウスやクリスティを読んでたらイギリスの階級制度にいまさら興味がわいてきたので、とりあえず目についたものから(といっても同居人が図書館で見つけてくれたんだけど)。
これ読み終わった直後に、“Miss Marple's Final Cases”を読んでたら、Tape-Measure Murderが、まさにこの本で知った単語や社会制度満載の話でびっくりした。
シリーズでいろいろ出てるみたいなんで、ほかのも見つけたら読んでみよう。

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The Body in the Library by Agatha Christie
なんかいかにもミス・マープルものって感じだった。
クリスティは、面倒見はいいけど身勝手で横暴な家長とその家族(親族)の物語をよく書くけれど、これのラストはそれがいい具合に瓦解し、新しい関係を築いていける話になっていた。ちょっと珍しいかもしれない。
たいてい家長が殺されるところから始まるもんな(^^;)
若さゆえに少し愚かな少女たちに対する態度と思いが、とてもマープルらしい。

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『寄宿生テルレスの混乱』 ムージル(著) 丘沢静也(訳) 光文社古典新訳文庫
ジルベールがいない『風と木の詩』みたいな。のりすはーぜ色の濃い竹宮惠子の一連のヨーロッパ舞台の思春期少年ものみたいな感じ。
これ書き終わったときムージルは25歳だったそうだけど、読んでるとクリアに中学とか高校時代の自分を思い出す。いたたまれないほどに。25くらいのときにはもうわたしにはここまでクリアに思い出すことができなかった、と思う。

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『ホフマンと乱歩 人形と光学器械のエロス』 平野嘉彦(著) みすず書房
この本で取り上げてる『砂男』(及びフロイト『不気味なもの』)『押し絵と旅する男』読んでるし、これ読む以前から乱歩とホフマンには似たものを感じてるんだけど、なんか違う分析を読むべきだったかなー。
すごくチセイのない身もフタもないこと書くと、なんでそこまで男性器が世界の中心になっちゃうのだろうかと謎。マジで。

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『がんばれ、ジーヴス』 P・G・ウッドハウス(著) 森村たまいき(訳) 国書刊行会
初めて読んだウッドハウス『ウースター家の掟』の数ヶ月後の話。
まさかまさか毎度お騒がせカップル、マデラインーガッフィー枢軸がこんなふうに解決されようとは。これでほんとに決着がついたのか?しかしジーヴスほど口八丁手八丁でマスターの評価を地に落としつつも感謝される人間もそうはいまい。
あと短編が三つ。……学校のお楽しみ会とか村の運動会とか、見てみたいけど、無事な姿で家まで帰りつけるのだろうかと毎度躊躇させられるわー。
とりあえず『バジル氏の優雅な生活』読み返したくなったんで、近いうちに読もうっと。

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『リジー・ボーデン事件』 ベロック・ローンズ(著) 仁賀克雄(訳) ハヤカワ・ミステリ
なぜ彼女が殺人を行ったのか、の一つの解決の提示として書かれた推理「小説」だが、わたしはむしろ、なぜそこまで彼女が犯人であることが定説になってしまったのか、の方が気になってしまった。状況証拠しかなくて裁判で無罪が言い渡されたにも関わらず、である。「疑わしきは罰せず」の原則が生きた裁判だったのだろう。ならば、著者は彼女を直接名指しした「ファクション」ではなく違う形、せめて別名を与えることはできなかったのだろうか。
途中で、シャーリー・ジャクソン『…[全文を見る]

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『洋梨形の男』 ジョージ・R・R・マーティン(著) 中村融(編訳) 奇想コレクション 河出書房
基本ホラー風味の、ファンタジーだったりユーモアだったりSFだったりする短編集。同著者の本は数冊読んでるんだけども、ともかく筆力がすごい。においまで感じられそうで、特に表題作は、途中からずっと総毛立ちながら読んでいた。そうかと思ったら、ジョナサン・キャロルの『我らが影の声』みたいな恐ろしさの話もあるし。
ラストの『成立しないヴァリエーション』、わたしは大好きで同居人は大嫌いという正反対の反応を引き出したある映画を思い出した。同居人があの映画をなぜ嫌いなのかわかった気がした。

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『お呼びだ、ジーヴス』P・G・ウッドハウス(著)森村たまき(訳)国書刊行会
これの前に読んだクリスティにも「貴族と執事」のスケッチみたいなのが満載だったんで、読んでて最初、既視感が(笑) それでなくともある意味ではマンネリのおもしろさみたいなのが醍醐味だし。
しかし今回はバーティー出てこないのと、舞台の小説化ということで、じゃっかん雰囲気違ったです。日本で言うと、吉本新喜劇みたいなのを小説様に文章で書き起こしたような、というんだろうか。
最後の短編のせいで、よけいジーヴスのバーティーに対するSっぷりが光っとったわ。なにこのビルへの扱いの違い(笑)
『ブリング・オン・ザ・ガールズ』の抜粋もおかしかったんで、年内ジーヴスもの全訳終了の次は、そっちの訳もぜひぜひお願いしたいです。

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The Secret of Chimneys by Agatha Christie
彼が彼女を口説くところで彼が誰かはわかったのだけど、焦点になってる誰が彼かはわかんなかったー。ちらと思いはしたけど、でもあの人のおすみつきならだいじょうぶかと思うじゃねえか、というくらい渋いスコットランド・ヤード。
しかしクリスティは時折とんでもなくスーパーマンを書いてしまうことがあるわいね。これ、Big Fourのポワロ並みかも。

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『黄金の壷/マドモワゼル・ド・スキュデリ』 ホフマン(著) 大島かおり(訳) 光文社古典新訳文庫
訳者解説にある
>「頭がくらくらする」ほど美しくて、おかしくて、グロテスク
というの、『砂男』や『くるみわり人形とねずみの王様』を読んだ時に感じたそのままズバリ。あのときわたしは「乱歩みたい」と思ったのだけど。
今回の『黄金の壷』は高階良子のファンタジーものを思い出した。『マドモワゼル・ド・スキュデリ』は、ルイ14世王宮に伺候する73歳の老嬢作家による推理もので、一気に読んでしまった。残り2編の『ドン・ファン』と『クライスレリアーナ』については、音楽専門に学んでらっしゃる方の意見をうかがいたいところ。オペラに興味がないのだが、『ドン・ジュアン』を見てみたくなった。
総じてみると、やっぱりなんかわたしには、この人乱歩を感じさせられてしまう。

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“Rosa Parks: My Story” by Rosa Parks with Jim Haskins (Puffin Books)
アメリカの公民権運動を拡大化させたバスボイコット、そのきっかけとなった女性運動家の自伝。
キング牧師やマルコムXなどへの言及もあり、おもしろかったし、公民権運動の大きな流れがつかめてよかったんだけど、同時に、
非暴力での運動を貫こうとするとき、シンボルとなる被害者の弱々しさ(女性であること)、「それ(この場合黒人であること)」以外では一点の傷もないクリーンさの求められ方、というのが、加害者側だけでなくサポートする側からも強く求められるという現実に、なんかたまらん…[全文を見る]