/電車内にて

眠って小規模に左右ゆれする兄さんが少しでも寄りかかる方向に来るなり、かわしたりはねのけたりのアクションを起こす隣の姉さん。そのたび、姉さんの反対側の若者がさらに身をよじる。

向かいの席のおっちゃんが頭を反らせて窓と壁の境目によりかかり、口を開けて眠っていらっしゃる。
眼鏡を着用されているのだが、それが額にかかっている状況だ。どうやったらああなるのか。
壁が10センチほど盛り上がっているので、その段差にうまいこと眼鏡のつるの端が当たり、耳を支点に持ち上げられたのか。

7人掛けシートで半端なポジショニングをしているおっさんに動いてもらい、首尾よく女子高生とおっさんの間に座ったわたしは、のちに女子高生が自家製鮭おにぎりを食べ始めるとは思いもよらなかった。

隣の高校生男女連れがずいぶんと親密な趣だった(さっき男が降りた)んだが、女が男に向かって「出てますよ、口が」と言っていた。口とは何ですか。

まーた7人用長椅子に6人か。しかし、でかいおっさんが多いし、5人動かさねえと1人分の隙間ができねえな、どうしようかなと思ったとき、最初に動かす対象のおっさん(テーシャツに「WARU」と大書してある!)を抱えたアイフォーンの画面1/3に複雑な亀裂が入っているのを見て、見守ることに決めた。

ニンテンドーディーエスのROMさしこみ口に向けてくりかえしフーフーするとなりのおっさん
ファミコン専用の作法だと思っていたが
任天堂から「機械に良くないので止めてね」とお知らせがあったと思っていたが

りんかい線大井町駅から大井町線に乗り換えるため階段を登り続け気のきかないおとっつぁんが我が子と手を繋いで階段上るのはいいが子供を通路の真ん中側に据えたため後続が交わしたくても交わせなかったりしてうんざりさせられたりしつついたら息がくるしいので電車内でぜいぜい

音漏れ・通話・ひとりごと音源集をつくって類似の発信源に聞かせてあげたら喜ばれるた思った

向かいの席に向かって吊革持って立っているおっちゃんのおけつのあたりでスーツのパンツが擦りきれてパンツが覗いておる

目の前の男女連れがなにか三國志を題材にしてずっと喋っているのだが、とくに太史慈が重要なようで、この10分でもう1000回くらい太史慈と言っている。

隣の人が眠って寄りかかってきたらできるだけ身をよしって迫りくる脅威を交わして、当人自ら傾きすぎに気づいて姿勢を正すのに任せる派のわたくしの経験からかんがみるに、今日の隣人は傾きセンサーの感度が甘いようだ。

太陽には薄い雲がかかったようになっていて陽射しはそれほど強くなく、草木の香りをはらんだ風が微かに吹いて、鳥は賑やかにさえずって、山の中のキャンプ場で迎える朝としては理想の天候だなあと思いながら自宅を出て電車に乗って勤務先に向かう

隣のおっちゃん(さいきんよく同じ車両に乗っている)が誰か宛ての誕生日祝いメッセージをひねりだしていた。

JR南武線で自分が乗る車両の割合は、しきりのない7人用シートが最大勢力で、ときどき、柱(手すり)で2-3-2にしきられた7人用シートの車両に当たります。こっちのほうがたぶん新しい。
前者だと、巧妙に隙間を調整しやがって6人しか座っていないのをままみかけます。そこを詰めてもらって座るのがひとつの楽しみではありますが、でかいおっさんの間に入るのはこっちも気持ちよくない。
一方、2-3-2のシートでは、6人で調整というのを見たことがないし、でかいおっさんがいても、それほど窮屈にしているのを見たおぼえがない。間に柱があるのに。
2-3-2のほうがシートが広いということがあるのでしょうか。シート幅が同じなら、2-3-2のほうが優れていると思うのですが、部品が多くて高くつく以外に欠点はあるのでしょうか。

いや、おれ通話相手だったので
うそです

隣に座った男がイヤホンマイクで通話しておる
すげえこれまんま独り言だ

これが学校帰り電車か
こんなにくたびれた雰囲気のない賑やかな場所は久しぶりだ

乗降客が多い駅に着いたとき、七人がけシートの中ほどから立ち上がって、空いた対面のシートの端の席にすばやく移動した初老のごましお頭のおっちゃんが着ているパーカーの袖に大きく「ZEKKOUCHOU」とプリントされているのに気づいて合点

どうしたことか3/1以降でいちばん同乗者が多いように思える
着席できないしそれほど眠くないので外を眺めていたら建物の間の川の流れの先に富士山見えるのに気づいた

車掌「ただいまこの電車たいへん混み合いましてたいへんご迷惑しております」