/電車内にて

シートの端に座って、終点に向かっていた私は、終点前3つ目くらいの駅で客が大勢降りてた折、ふと横の仕切り板の向こうをのぞきこんだ。そこにはテニスのラケットがあったが、2メートル以内にほかの客はいなかった。終点で降りてしばらく観察していたが、ラケットはそこから動かなかった。

隣の兄ちゃんが膝の上にクリアファイルを置いて下敷きとし、A4サイズの紙を2つ折りにしたA5サイズ一面に赤ペンの丁寧な字をびっしり書き連ねている。どうやらお客から受けた電話の内容を書き起こしているようだ。10分ほど書き続けて表が埋まったところでかばんに収納したと思ったら、次の駅で降りていった。元の電話は一時間くらいかかったのではなかろうか。

見動き取れない程度の混雑している車内で後ろに乗り込んできた男女連れが「混雑状況下で互いに意思疎通というか呼びかけをするための方法や態度におもいやりが欠けている、なんでじぶんに声かけずあいつに声かけた」「おまえもな」といいった痴話喧嘩が止まらない
この混雑車内でそれが続けられるのに、おかしなものですね

比較的空いた車内の長椅子で隣に座ってきたおばちゃんは15センチくらいしか奥行きを使っていない
目一杯奥行を使って座る私のひざ横から足が始まっている

たいへん混雑車内で隣のにいちゃんがふんばり屋なので折に触れ体を預ける

じいちゃん3人が悠々自適暮らし自慢大会。
一人は4時起き早朝散歩のあと飯食ってから駅前のコーヒー屋で行き交う人を観察するのが日課だという。
「駅前のね、ドトールドコーヒーでね、10時くらいからね、人をウォッチングするのよ。ドトールドコーヒーでね」

前の席のおっちゃんが「不良中年になるためのヒント」という見出しのある本を読んでいる

鹿がせめてきたぞっの下にいただきましたが並んでいるスクリーンショット撮りたいが音を出したくない

いい年と見受けられる男女連れがくそ混雑車内でスタンディングで10インチの板を手を取り合って共有し麻雀ゲームに興じておる。この混雑で10インチは大したもんだとか、いや1人5インチと思えば標準的だとか、面積考えたら4倍だよなあとか

混雑車内スタンディング。目の前の椅子に着席した人と爪先っが触れ合う。
あっ、おれ同じ靴持っちょる。

構造上可能かどうか知らんがイヤホンを外向きに装着しているんどではないかと思われるおっさんあり

20代前半かなあの男女連れ
「会社の後輩(19歳)がクラブ(平板アクセント)に行くから会社の身分証貸してくれと言ってきたけど断った」
「なんで」
「だって顔写真入りよ、嫌じゃん」
「そうかなあ、免許だったら嫌だけど」
「なんで。なんか困ることあんの」
「あ、でも人と場合による」
「ふーん。クラブって嫌だ、普通の居酒屋ならいいけど」
「ふーん」
モラルやリテラシーといったカタカナをオモワズにIllustrator無いが、けっきょく操は立てているのか

隙間なし混雑。電話機操作のためなら他人の肩をつかってもいいと思っているハイスクールスチューデントや、電話機がぱたぱた当たってもいいと思っているおっさんなどに囲まれる。スチューデントは俺様が肩を動かして「ノッテイル」のサインを出したら、了解とばかりに舌打ちなさったので、「肩に乗せるなや」と注進つかまつりました。それ以上に発展させる度胸のない俺様が相手でよかったねスチューデント。

足元にでかい荷物2つ置いた小娘の前に立って30分弱の混雑移動。となりのおっちゃんは膝に荷物を載せているのに、周囲を見て学ぶ力が弱いようだ。周囲から圧迫されて、ときどき小娘の荷物を踏んだり蹴ったりしてしまうが、いやあ面目ないねえ

隣に座った肩まである髪染めたたぶんおしゃれにいちゃんが、電話機を見つめながら空いた手でずっと髪を撫で付けていて、その行為への感想を述べてやろうか逡巡していたら降りていったんだが、そのとき見えた電話機はアイフォーンで、画面の2/3を覆うヒビがアクセントになっていた

大混雑から乗り換え駅を経て人心地ついたが、それでも車両連結部に半身を乗り出すわたくし。車両が左右に揺れた表紙に、よりかかった壁から振り払われたようによろめく。同時に車両端の扉が勢いよく締まり始める。よろめいた私の視線は扉の行方を追う。その先には、扉に背を向けて、やはり半身を乗り出した人物が。挟まれる、と警告を発する間もなかったが、挟まれた当人は坂口征二風の体躯で、なにやらハエでも止まったのかといった素振りを見せただけだった。

おっちゃんがスマートフォーンのメッセージサーヴィスへの返信で「武蔵新城」と入力するのにソフトウェキーボードで「musashishinjyou」と入力して変換していた。手間を惜しまず着実に。

スタパ斉藤物語(仮)を実写で撮るならスタパ役は山田孝之だなあと思った中吊り広告

久しぶりに中途半端な隙間を詰めていただいて座ったぞ。
わたくしの注意が至らず、隣のおっさんにかばんがよりかかるかっこうになったようで、おっさんが押しのけてきたぞ。「すみません」と言ったが、おっさんはイヤーをフォーンで覆っていて、聞こえなかったかもしれないぞ。おっさんのかばんの肩掛け紐の金具が自分の足の下に入ってしまったのでどかしたぞ。おっさんは正面を向いて目をつぶったまま「くそっ」といったぞ。俺様はおっさんの横顔に向かって微笑んだぞ。

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