私の言葉が彼女を一つも癒しはしないとわかっていたから、ケースの端から端までケーキを買ってみた。
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一行超短編のことを語る
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庭の定位置に停まったヒヨドリが目が合った途端いつもフンをするのは挨拶なのだと好意的に受け取ることにしている。
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鳴らぬ携帯をもてあそびながら、混じり合う猫の声をもうらやむ。
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恋の始まりはいつだかわからないけど、終わりはこんなに色濃くはっきりとしてるんだね。
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その正当すぎる怒りと隙のない生き方と研がれた言葉がダイヤモンドのつぶてになって、私を打つよ。
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「忘れないで。」そう言ったことすら君は忘れてしまったでしょう?
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あの人の携帯の画面にはどんなはてなハイクが映っているんだろう
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掌を走る無数の皺に読めない明日が隠れているかのように見つめてみる。答えはない。
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爪先で霜柱を蹴る、ささやかで美しい破壊も心を落ち着けはしないけれど、白い息を吐いて歩き出す。
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綻びたボタンの糸をそのままにして、今日が終わる。
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絡めた小指が折れてしまったのは、私の扱いがぞんざいだったからだ。
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開いたガビョウの穴に、何詰める?
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しゃがみこんで子供の目線になってみたけれど、あの頃見えていた世界は、そこにはなかった。
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おそらく父はあと15回は床に落とした栄養ドリンクの蓋を踏んで血を流す。
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空から落ちてきた最初の雪の一片が、彼の肩で融けて消えた。
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おまえがお前でないとき、本当のお前が始まる
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「アイスクリームは水じゃないから溶けたらふえるよね?」と妹がラクトアイスのカップに手を付けず見つめ続ける。
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おせちをつまみながら今年も、「お父さんさ、足袋にお年玉を入れてくれたのはいいとして、メリークリスマースみたいに『きんがしんねーん』て言ってたのはやっぱり変だよ」と、小さい頃の話を蒸し返してしまう。
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「私はもうここでお別れだけど、これからは彼女があなたのそばにいてくれるから」と、鼠が牛を置いていったので、途端に部屋が狭くなった。
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通りかかるたびに「いつか入ろう」と思っていた店は、「いつか」を待たずにつぶれてしまった。