/HHK連続一行小説

「鼻の穴にそんなのを詰めてるから気が遠くなるのよ」と、彼女。なぜ彼女は私の考えていることがわかるのか。震えが止まらない。

なんと言う事だ。和顔のフラガールは、緑茶に含まれるポリフェノールが匂い成分と結合して中和させ＜中略＞消臭効果に優れている、と言う事を知らないようだ……

振り返ると完全に和顔のフラガールがチラシを抱えて立っていた。

娘十八、番茶も出花。私は十八ではなかったのだ。

「ウチのお父ちゃんがなぁ〜！買うてくれてん〜！」
いや、そっちじゃない。

薄れていく意識の中、私は思う。違う、私の名字は大屋であって大家ではない・・・。

そのときだった。味わったことのない痛みが全身に走った。膝をついていた。気が遠のいていく。雪芽奇蘭の香りがした。

「ヨリナガサマノ サイハ、ココンワカンニヒルイナキモノ！！」.

香りは記憶を呼び覚まし、記憶は香りを呼び覚ます。安置所で大家に再会した時、ふいに鼻孔にその香りが蘇った。

死んだ大家がくれた雪芽奇蘭だった。

でもその時の私は大して気にも留めずに、舟和の芋ようかんに舌鼓を打っていたのであった。

それにしても「新婚さんいらっしゃい！」のタワシまで単なるハズレになってしまうとは…

この、突然顔を出した「私」こそ、この物語の語り手なのだが、今は多くを語るまい。

相撲取りのまわしに於いては、特に重要なことである。

しかも、食い込み過ぎている。

「うるせえ、今何時だと思ってるんだ、静かにしろ!」鏡から...いや、壁の向こうの隣の部屋から返事があった。

内部のゴムが破損して戻りが悪くなったAボタンと同じくらいに、とも。

画鋲を刺す向きを間違えて血まみれになってでも襲名したい、それが八兵衛の名跡だ

「ツツヤヤブーソ」

これは謎の少女・シシカカブーンの物語である。