お話しするにはログインしてください。
父のことを語る
父のことを語る
都内の地下鉄で自動改札機が普及しはじめたころ、わたしと出かけたときおもむろに改札を突破した。
いわく「やったらどうなるか一度試しておきたかった」
ちゃんと切符は持っていたけどトラブったときわたしを証人に立てられるように一緒の時を選んだらしい。
好奇心に満ちあふれた65歳。
嫁に出した娘を巻き込む気だったのか
父のことを語る
「ヒトドモの食べ物は絶対あげない(覚えたら絶対狙うようになるから)」と
家族内で取り決めたにもかかわらず、
ウチの猫様があんこに執着するようになったのは父上の仕業と判明。
最近では三時のお茶の時間も油断なりません(汗)。どうしてくれる。
あとヨーグルトと生クリームにも反応するんですよね、なぜかしらね父上。
父のことを語る
ジャケ買いした政治経済ビジネス書を娘婿に下賜したげる風に押し付けるのがブーム。
父のことを語る
風物詩電話
父『おい、あれはいつだ、あれは』
ゆ『あれ?』
父『だから、お返しをするやつよ!』
ゆ『あぁ、ホワイトデイね』
父『で、いつだ?』
ゆ『14日』
父『じゃ、明日買いに行かなきゃ間に合わんな』
ゆ『・・・』
孫娘へのお返しに毎年毎年同じ会話。
父よ、あなたの孫娘は市内に住んでますよ。
あ…待てのきかない性格は父からか。。。
納得できたんで、明日仕事が終わったら一緒に買い物してきます。
父のことを語る
お誕生日だからipadとipodとwindws8対応PCと温泉旅行を弟の会社払いで買っていいと思っている。
父のことを語る
職場がある程度大きな企業なので安否確認を携帯で登録する制度になったらしい。
初期登録の仕方をプリントアウトして自宅に持って帰ってきたのはいいけど
シーちゃんちょっと教えてと娘にマンツーマンで教えてもらうものの
中々うまくいかない。
3,4回失敗して気の短い父はいらいらし出したので
しょうがないから私が画面見せながら全部済ましてしまった。
まず携帯がちっちゃすぎでボタンが押しづらいので買い替えたほうがいいと思うのだけど
うだうだ理由つけてなかなか買い換えない。
父が買い換えるのが先か災害が起こるのが先か定年で会社辞めるのが先か・・・
このままじゃいざって時安否確認できないぞ、父超がんばれ。
父のことを語る
父はカラオケ屋で性的なサービスを生業とするお姉さんたちに会った。
「あそこのカラオケ屋の姉ちゃんはそういうのが仕事なんだ。
俺はもうそういうの興味ないから下で飲んでたんだよ。
でもどいつもこいつも俺をなんとかして上の部屋へ行かせようとするから、
俺はそいつらに上で渡す以上の金渡してやって、下で飲み続けてたんだ。
そしたらフロアの姉ちゃんたちがみんな俺のところに寄ってきて、すごいんだ」
へえー。
「俺、超モテる」(ドヤ顔)
いや、それは違うんじゃないかな。
父のことを語る
若い頃、「ちょっと石原裕次郎に似ている」と言われており、
本人も意識していたらしい(母上の証言)が、
あくまでも顔の雰囲気がちょっと似ていただけで、
スタイルは足元にも及ばない(中肉中背で足は短い)ので、
あまり意味は無かったと思われる。
父のことを語る
父のことを語る
リクエストで時々ハンバーグを作り置いてくるのだが一食分を大きいのひとつにするより小さいのふたつにする方が嬉しいらしい。
わーいって感じで喜ぶ食い意地ジジイ。
父のことを語る
「ただいま戻りました」
「楽しかったか?」
「うん、すごく楽しかった」
「へえ!」
「すごく気に入って、住みたいと思ってちょっと部屋も探したよ」
「はは、初めて行った外国は、いいところばっかり見て、そう思うんだ」
「え~、そう?」
「そうだよ。そして何度か行くと、そうでもないかって思うんだ」
「そっかあ・・・」
「でも、逆のやつも、いるんだな。やなとこばっかり見て、嫌いになる。
それより、よかったな」
「行ってなにしたらいいかわからない。自分には仕事もないし」
というはてこに
「おまえがあっちに行ってみてベトナムがすきで住んでもいいと思うか、絶対に嫌だと思うか、俺はそれが知りたい」
と言っていたのにけっこう冷静な父であった。
父のことを語る
終戦後間もない幼い頃、米軍基地の近くに住んでいた父上。
米軍の配給で貰った一斗缶入りのバターがあまりにも美味しいので、
(食糧難の時代の子供にとって、あまりにも魅惑的な食べ物だったとか)
調子に乗って食べまくったら、大量に出来物ができてしまって難儀したとか。
父のことを語る
精養軒ではコーンスープを銀のボウルに入れてもってきてテーブルでサーヴィングして「クルトンは入れますか」とたずねる。
そのたびに父は「この子はクルトンが大好物だからよかったら器ごと置いていってほしい」と頼んでくれてわたしは喜んでいたのだが
実は父のほうがクルトンが大好物でわたくしはいいぐあいに口実にされていたのだった。
父のことを語る
[ふと思]
「炎に直接触れていなくても先端の熱いところに近づけて十分熱くなれば発火する」ということをあるとき実証して見せてくれた。
上野の科学博物館の帰り、精養軒のテーブルの蝋燭と煙草で、コーンスープを待ちながら。
いい時代だったってことかしら
父のことを語る
母 「昨日も『痛いー、痛いー』って言うから、
どこが?って聞いたら『全部』だって。」
私 「(スーパーの)バイトキツいもんねえ。」
母 「だからね、『頭も痛いの?』って聞いたら、
『頭はいつもぼーっとしてるから分からない』だって!」
父上・・・。
父のことを語る
咳払いと同時にオナラしてた。
アタシはそれを聞き逃さなかった。
父のことを語る
実家の電話にナンバーディスプレイを導入して以来、電話の出方があからさまに雑になった。
父のことを語る
巣鴨に買い物に行くというので、新しく出来たコメダ珈琲見てきたら?とオススメしたところ興味なさそうだった。
なのに帰って来たら「はい、むいにお土産。」とコメダで飲み物を注文するとついてくる豆をくれました。
私「行ったの?どうだった?おじさん好みな感じでしょう?(^ω^)」
父「んー、カントリー調でなかなか良かったよ。あんこトースト食べて来た♪」
父のことを語る
「旅慣れないから荷物が多いな・苦笑」
とか絶対に言うな、でも荷物はほんとに少ないんでした。物が多いの大嫌いだからね!残念賞!
と思っていたら、麻薬捜査官もびっくりな持ち物検査が始まり、
「こんなもの絶対にいらない。馬鹿じゃないのか」
を合言葉に着替えは言うまでもなくガイドブックからポケットティッシュ、はてはサニタリーポーチに至るまで徹底的な軽量化指導が入り、その後こんまりばりのパッキング指導が始まった。
子どものころはこのような父が心底嫌で長年距離を置いてきたが、大人になったいま
「絶対にいらない。馬鹿じゃないの」
と始終夫の持ち物に苛立ちを隠せない自分のルーツがこんな身近なところにあったことに呆気にとられた。
「俺の友人はカメラのフィルムケース一個まで重さを量っていくんだ。俺なんかまだまだだ」
と娘の荷物を次々減らす義父を前に、パンパンのバッグを抱いたもちおが青ざめた顔で正座していた。