/俳句

朝顔のしをるに更かす市の夜

かき氷掘れば白玉まろび落つ

雷神が馬の背分けず背を濡らす

雷神が紫陽花揺らし傘散らす

雷神に飲み込まれたりアトリウム

落下したアイスが悲しい夏の夜

かき氷ジェンガのやうに匙運ぶ

そよ風の名を持つハイビスカスの咲く

ジェラートの溶けるを待たず雷去りぬ

白南風や古物に与ふ深呼吸

夜道ゆく花嫁御寮や金魚玉

梅雨晴れや雲は墓石を流れゆく

燕の子眺むる子ある通学路

かき氷木の味のする匙を噛む

金魚すくい小遣い銭で命買ふ

梅雨晴れに干さぬ靴下後悔す

夏服の腕静脈の青き影

梅雨晴やタグ閃かすユニフォーム

梅雨晴やこのユニフォームを汚すのだ

梅雨晴やライトフライを見失う

梅雨の晴れ雲押し上げて干すシーツ

遠花火消ゆるや君の肩越しに