/俳句

中庭の空うずめたる葡萄かな

紫陽花の色溶けてゆく急カーブ

半袖に夜風うれしや熱帯夜

叢の祠守りて夏薊

會安に古墓あり青田波洗ふ

ほいあんにこぼありあおたなみあらう

片蔭り陣取り合戦止む正午

間道を上りて墓地に蝉時雨

蝉時雨重しや猫は平らかに

墓洗ふ人なき寺の風静か

直しました

蝉時雨花なき墓の花器に罅

蝉時雨墓前の花器に罅を見ゆ

せみしぐれぼぜんのかきにひびをみゆ

団欒に庭の花火は待ちぼうけ

炎帝とシーサーくわっと対峙せり

炎天やシーサーの目の陰は濃し

夏砕くシーサーの口黒々し

梅雨寒し老女重ね着するニット

自転車のカゴきゅうきゅうと鉢朝顔

朝顔市徹夜の店主の向こうっ気

朝顔市鉢下げ歩くメトロまで

朝顔の萎るるに市の夜は深し

昨夜の直し