/俳句

美味なれど児戯にも似たりきぬかつぎ

球体をめぐる矢印雁の列

手のひらの砂は平熱秋の海

スズムシの争鳴あれど夜は寂し

落つるともくれなゐに染む酔芙蓉

どんぐりや母の遺品にまぎれをり

くりごはんねだられ気づく去りし夏

草むらに紅さす芙蓉の落花かな

落とし物預かり所なる案山子かな

コスモスを揺らす微風に秋を知る

相席を謝してコスモス畑かな

腑も喰らふ帰郷の焼き秋刀魚

蜂蜜の匙の重たさ秋の朝

テーブルに琉球硝子秋の虹

二人分煮（た）くおでん種少しく迷ひぬ

花野分く川の流れやオフィーリア

たそがれに褪せて寂しやひがんばな

新宿の先に君なき星月夜

*短歌のっかり企画

山門の野花雨受く秋彼岸

松茸は眺めて終わる初秋かな