骨壺をどうやって納めるのか確認するため墓石動画を梯子していた。
その後滑り止めのついた手袋を持って、ある晴れた日にひとりで墓所へ出かけていった。
ここから先は書いていいのかどうかわかりません。
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今日のダンナのことを語る
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はてこ父からはてこ実家の墓からこっそり骨壺をぬき、内々に散骨してほしいといわれた。
「パパ、そんなこといったの!?」
「いった」
「確かにあの墓所は対応がムカつくけど、おじいちゃまたちの骨をその辺に撒けってそりゃないよ」
「うん。だから『俺は、お義父さんが死んだら会いにいける場所がほしいですよ』っていった」
「え」
「そしたら『そうか…じゃあ納骨堂をこっちで用意するから』っていってた。ちょっとうれしそうだった」
実子にはできないことをやってのけるアメイジングハズバンドなもちお。
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「インスタグムにお洒落なペアルックの老夫婦がいてね」
「うん」
「見るからに上質ないい服を着てるなと思ってたの」
「うん」
「ところが全部UNIQLOとZARAと古着なんだって」
「へえ!」
「すごいよね~!お洒落な人って」
「すごいよな。金がないのにそんなことしちゃうんだから」
「違うよ」
学生運動世代ブルジョワゆるすまじな父のもとで育った。
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出先で財布を探す妻をなだめる。
「探すのやめたら出てくるよ」
「探すのやめて出てくるなら最初からなくならないでしょ」
「探してからやめるんだよ。そしたら出てくる」
「ほんとに?」
「うん。井上さんがいってた」
陽水と知り合いなのか。
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「さっき、しゃっくりがでた」
「横隔膜がどうかしましたか」
「具合悪くなってから、胃が固くなって、しゃっくり出なくなってたんだ。一昨年の暮れぐらいからずっと」
「胃が柔らかくなってきたかもしれないの?」
「感触としてそんな感じ」
そうだったら夢みたいだ。、
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「このブログを最初から読んでたんだけど、この人面白いな!」
ニコニコしなから自分で書いてる闘病ブログを読んでいる。
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故郷から訪ねてきた父と書斎で飲み明かす。
「楽しい?」
「うん、オヤジと話あうわ。かみさん大好きで面白くて」
仲良し親子でうらやましい。
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「ハッピバースデー トゥーミー
ハッピバースデー トゥーミー
ハッピバースデー ディア もちおー
ハッピバースデー トゥーミー」
後部座席に父を乗せて熱唱する息子。
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お誕生日。
去年のお誕生日は入院して腹腔鏡手術でした。
今年は昨日が検査日で、年末忘年会の梯子でいまひとつだった肝臓の数値もよくなり、健康優良おじさんです。
ありがとう、みんな。
ありがとう、世界。
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公道のマナーについて。
「ああいうの、こまったもんだね」
「まったくこまったもんだ。
こまった~ものだね~
こまった~
こまった~
こまった~
そーおでもない~
あ、本音が出ちゃった」
なんでも鼻歌にする。
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結婚祝いに送ったケーキを奥様がお気に召して残りをどうわけるか審議になっていると聞いて。
「僕なら黙って食べてあとで怒られることを楽しみますね!」
黙って同じものを買ってきて妻にプレゼントして、「連日ケーキばっかりこんなに食べられないでしょ!」「冷蔵庫のスペース考えなさいよ!」とか怒られる方だと思う。
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「モルモットに なってよー
モルモットに なってよー
僕たちの 研究のーためーにー
モルモッートにー なーってーよーねー
はした金でー」
治験バイト募集の広告の歌。
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引き続きジャンクパーツを買っては修理してオークションで売りさばいている。
入ったお金で食事やお茶を奢ってくれる。
「そうやって苦労して入ったお金ではてこに奢るの惜しいと思わないの?」
「思わない。俺ははてこさんに奢るために稼いでいる。思うわけがない」
「結婚は男にとって損だという意見をどう思いますか」
「稼いだ金をキャバクラにつぎ込む男が大勢いる。
オネエちゃんにちやほやされたいからだ。
俺ははてこさんにちやほやされたい。
そこに全額つぎ込むことに何の不思議もない」
しかし妻はいくらか貯金しておいてほしいとも思うのであった。
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行きつけの喫茶店にコピルアックという珈琲が入った。
もちおはいたく気に入ったが、一杯にせんごひゃくえんもする。
去年の春は「冥途の土産に」と飲んでいた。
夏は「景気づけに、気分転換に」と飲んでいた。
秋は「ここまで生き延びた記念に」と飲んでいた。
冬は「年越しまで生きていたことを祝って」と飲んでいた。
もうそろそろ大義名分が切れる。
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親戚の子が正月に見たがっていた映画「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」
「『ぼくは明日、昨日の彼女とデートする』だと悪いやつ」
よくそんなの思いつくな。
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・年末忘年会を梯子して吐くほど飲んで妻にドヤされる
・余暇はヤフオクにはまって夜更かしして妻にドヤされる
・年明けにインフルエンザで高熱を出して一週間寝込む
・回復後、キックボクシングを再開する
去年の今頃
「臓器3つ4つ全切除してリンパも取れるだけ取って抗がん剤やっても余命はどうかなってところ」
「すでに転移していて腹水もあり手術できる状態ではないので治る見込みのない人限定の抗がん剤治験参加して」
今年
「転移も見当たらないし腹水もない。血液検査はすべて正常。非常に珍しいケース」
なんでもモリモリ食べて抗がん剤の後遺症も消え、水仕事も水風呂も大丈夫になりました。
ほんとにほんとに御蔭様です。だいじにします。
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質のいいパソコンを落札して妻に使わせる。
半月後、さらにメモリ増設。
「わあ、うれしい!ありがとう」
「いいでしょう、これ」
「もちおは『お金払うよ』っていうより、もちおに感謝して喜んだ方がいいのね」
「二万円」
「え」
「落札価格以下だ」
試供品提供後、慣れたところで価格提示。
商売人になってきた。
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「療養中なんだから、よしなさいよ」
と、言いたくなるようなことを、あれこれしている。でも
「療養中だからと思って諦めたけど、本当はやりたかった…」
ってなったら本末転倒なので、蹴飛ばした布団をかけておくくらいにとどめる日々です。
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「足に力が入らない。崩れ落ちるような感じがしたので帰ってきた。風呂で体を温めたい。寒くなったからかなあ」
2時に寝て朝から会社いったからじゃないですかね。
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お見舞いを元手にジャンクPCを落札して修理して出品して小遣いを稼ぎはじめた。
驚きの手際よさで作業をしている。
「もっと出品数を増やしたいけど、在庫を置く場所がね」
店を持ちたいくらいの話になってる。