痛み止めと睡眠薬の合間に目を覚まし、妻を見つけると微笑む。
「はてこさんがいてくれてうれしい…
なるべく長く、もちおのそばにおって」
わたしもなるべく長くそばにいてほしいよ。
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痛み止めと睡眠薬の合間に目を覚まし、妻を見つけると微笑む。
「はてこさんがいてくれてうれしい…
なるべく長く、もちおのそばにおって」
わたしもなるべく長くそばにいてほしいよ。
つかまるところがほしい
一週間前に入院して
二週間前に介護ベッドを入れて
三週間前に介護認定受けて
一ヶ月前に退院してきた
明日からホスピスに入る
業者さんが介護ベッドを片付けにきた。
寝室のベッドがひとつになる。
胸がいっぱい。
6時間ごとの舌下錠が4時間ごとになり、いまは24時間点滴しながら追加で30分起き。
30分起きに押せる痛み止め点滴ボタンを押すために、ほぼ30分起きに起きている。
これは眠れないよね。
でも押さないと痛くて眠れないんだって。
「今夜が峠だと思う。わし、今夜死ぬ気がする」
と昨晩いっていたが、無事朝を迎え熱も下がった。
今日は午後あまりにしんどくて、椅子を並べて連結部分に携帯用ミニジェルクッションを渡し、ウールのストールをシーツで挟んでゴルディロック仕様の簡易ベッドを作った。長さが足りないので足はゴミ箱に乗せる。
それでも「もう床でいいから寝たい」と思っていたので天にも上る気持ち。
ストレッチャーを見たとき最初に思ったのは「これは連結しなくていいし、長さは十分だし、本物の布団がある。やった!」であった。
何の報告かわかりませんが
付き添い用の簡易ベッドが出払っているとかで、ストレッチャーで寝ることになった。
プラスチック板にノーマットレス。
敷き布団代わりの掛け布団に、持参したショールや携帯用ミニクッションなど総動員して肩幅ギリギリの寝床を作りました。
「もう二人で並んで眠ることはないんだ」
と空のベッドに涙して眠った妻が病室に泊まることになり、喜んでいる。
義弟がアルマーニのTシャツを持って帰った。
「あのTシャツ?」
「そう。あの、アルマーニ」
「『そんなことはアルマーニ』」
「そのアルマーニ」
(笑)
「昨日は、もう、俺は笑えんようなったんやろかと思ったけど、ほんとに笑えてよかった」
桂歌丸に似てきたが、あの人わりと長生きしたよね。
あんなに帰りたがっていたのに、もう家には帰りたくないんだって。
医師のいないところにいるのは怖いんだって。
もちおが家に帰りたくないといったのは結婚してはじめて。
今後も二度とないだろう。
肉が削げてしまったせいかまぶたを上手く閉じられず、白眼を剥いて眠る。
「白眼になってるよ」
「恐ろしい子…」
渾身の白眼ギャグ。
babiさん夫妻にいただいたバスタオルをタオルケット替わりにずっと掛けている。
身体に触れると痛がるので、まさに腫れ物に触るように接している。
こんなとき妻がふくよかで柔らかくふわふわな体型だったらよかったのになあと切実に思う。
治療は弾切れ。
病室が空き次第ホスピスへ。
もう会話も覚束ない。
なんでももちおが読む前提で書いてきたので、もちおに読まれたらまずいかなと思うことをどこに書いたらいいか、もはやわからない。
入院しました。
治療目的ではなく緩和目的で入院するのは初めて。
束の間一息ついたけれど、夜半にかけて自宅で手に負えないくらい痛みが酷くなる。
入院も視野に入れて病院へ来てくださいと言われた。
こんなこともあろうかと、七転八倒するもちおの横で妻はしっかり睡眠を取っておったのだ。