お話しするにはログインしてください。

|

Tips:話題欄だけに文字を入れて投稿すると、何も書き込まずその「話題」のタイムラインを開く。
id:ss-rain
一行超短編のことを語る

過去形になってしまう話を過去形で書きたくなくて書けないでいる。

id:ss-rain
一行超短編のことを語る

思い出しながら描いた君の笑顔は、こちらを向いていながら違う誰かを見ている。

id:ss-rain
一行超短編のことを語る

彼の喋る言葉が理解できずに、トーストをかじると、はちみつがじわりと喉に沁みて、少し落ち着いた。

id:ss-rain
一行超短編のことを語る

いつか出しそびれた手紙には宛名だけが書かれていて、封を切ることもせず、引き出しの奥の奥へと、再び押しやった。

id:ss-rain
一行超短編のことを語る

荒れた唇に塗るものが何もなく、仕方なしにバターを塗ったらお腹が鳴って眠れなくなった。

id:ss-rain
一行超短編のことを語る

ようやく好みの味に落ち着いた煮物をしみじみ味わい、この成長の過程を見守る人のないわびしさを奥歯で噛み締める。

id:ss-rain
一行超短編のことを語る

「あなたは自分が聞きたいように言葉を捻じ曲げてしまうから、私の言葉を無駄にしないために、これ以上何も言わない」

id:ss-rain
一行超短編のことを語る

少し太って、はまらなくなった指輪を、せいせいした気持ちで燃えないゴミの袋に押し込んだ。

id:ss-rain
一行超短編のことを語る

彼らの顔が歪んでいたのは、私のレンズのせいだった。私の顔が正しく見えたのは、私が歪んでいたからだった。

id:ss-rain
一行超短編のことを語る

扇風機の風にかき混ぜられるお線香の煙の中で、相変わらず物足りない味の氷スイを口に運びながら、祖母を偲ぶ。

id:ss-rain
一行超短編のことを語る

ぬるいコーラのもの悲しさで喉を湿らし、息の根を止めた冷蔵庫とその中で眠る食物の今後に思いを馳せる。

id:ss-rain
一行超短編のことを語る

悪夢の後味をコーヒーでまぎらわす。

id:ss-rain
一行超短編のことを語る

18年前、敵意むき出しで私を睨んだその瞳は今や白く濁っていたが、映らぬ私を捉えると、しっぽをパタリと振った。

id:ss-rain
一行超短編のことを語る

裏の公園に埋めた祖母の指輪が目を出し、夜な夜な私を見つめるので、窓辺に黒い下着とキウイフルーツを供える日々。

id:ss-rain
一行超短編のことを語る

昨日のことのように思い出せる日々だけど、黄ばんだ解答用紙に書かれたへたくそなアルファベットを私は覚えていなかった。

id:ss-rain
一行超短編のことを語る

無意味な言葉はざらざらと口からこぼれてゆき、部屋はあっという間にひじきの海のようになった。

id:ss-rain
一行超短編のことを語る

せめて窓があれば、壁の色くらいはわかるのに。

id:ss-rain
一行超短編のことを語る

ようやくシャワーを浴びれた嬉しさと、気の抜けたビールの悲しさがあいまって、テレビの灯りの中でコップを抱えてボロボロ泣いた。

id:ss-rain
一行超短編のことを語る

夜風がキャラメルのようにのびるので、桜の下でぼうと突っ立ったままなかなか動けない。

id:ss-rain
一行超短編のことを語る

カップラーメンのお湯を沸かすことすら億劫で、賞味期限の切れたヨーグルトを食べたら、体の芯からつめたくなった。