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読了のことを語る

『イエロー・バード』ケヴィン・パワーズ
イラク戦争を題材にした話だということで、ある種の構えを持って本を開いたらば
「その春、戦争は自分らを殺そうとした。ニネヴェの平原が草萌えで緑に染まり、気温も上がってきたころ~」
って調子で、何やら詩的な言葉が綴られていたので面喰った。
しかしその詩的な文体のまま、無残で凄惨な戦争の場面が綴られていったので更にびっくりした。
当時21歳の三年兵の語りで、戦時と帰還後を交互に描きながら、18歳の初年兵マーフィーの死について描かれていく。
作者が実際にイラクに派遣されていたということで、その場にいた人間にとっての戦争とはどういうものかという描写がリアルというかなんというか。文章は詩的なのだけども(除隊後大学で詩を学んだんだって)。
大げさに言うと、こういうものが書かれて読まれることが小説というものの存在意義なんじゃないかとすら感じた。