つげ義春さんが亡くなられてしまった。多くの人がそうであるように思春期から大人になる過程で、ぼくは彼の作品と出会い、衝撃を受けた。とりわけ、ぼくは「ある無名作家」というプライドが高い男がマンガ家のアシスタントを辞めて、生活に窮乏していく作品が他人事に思えず、ある時期「畳を売らないでね(作品の中で畳を売るシーンがある)」がぼくの交友関係の中では合言葉だった。この作品は無名作家が菖蒲湯に浸かるカットで終わるんだけれど、自分が朧げながら憶えている昭和の景色(彼の作品の魅力は何と言っても日常への観察眼だった)がまた一歩遠ざかったんだなとぼんやり思うのだった。
日常のことを語る
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