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一番最初に住んでいた家のことを語る

実家の、今は駐車場と物置になっている場所にあった木造平屋に四歳まで住んでいた。
平屋だったのに、外階段の先に今で言うロフトのような、六畳ほどの叔母たちの勉強部屋が残ってた。
そこにはアランドロンのポスターがあったり、古いテスト用紙や教科書が残っていたり、後の小学生の私には刺激的な秘密の部屋だった。

母屋には広い濡れ縁があって、日当たりがよくて暖かかった。
その先の庭には春には牡丹が咲いていた。
家の中は、障子ではなく戸板で重く、南に向いていない中の部屋は暗かった。
鴨居に、七転び八起きと書かれただるまの絵があって、そのだるまが見ているような気がして幼児の私には怖かった。

今の家を建ててからも、古い家はお蚕を飼ったり物置にしたりと使っていたけれど、私が中三の時に取り壊して農機具を置く物置を造った。
解体した日は、私は学校を仮病でサボっていて、大きな音がして外を覗くと、柱を取り払って家が崩れるところだった。

後におばあちゃんは、それを見て少し泣いたと私に言った。