id:happysweet55
自分(id:happysweet55)のことを語る

その翌年に、ぼくは同じようなものを抱えて、冬のヨーロッパへ旅に出たんけれども、
その途中でぼくがずっと抱えていた義のようなものは衰弱し切って
死んでしまった。すごく唐突に。すごく静かに。
場所はドレスデンの古いホテルだった。
暖かくて煌びやかなクリスマスマーケットを抜けて、バスに乗って、数ブロック
行った川近くの静かな異国のホテルで、
ぼくを支えていた義は死んだ。
その前日、ドイツの雪原で嵐に巻き込まれて、凍死しかけていたのが原因だったかも知れない。
その朝、ぼくは精一杯鼓舞して連れてきた「義」が息絶えてしまっていたことがよく分かった。
「義よ、お前はよく生きた」とぼくは言ってあげたかった。
それはぼく自身であり、同じ時代に生きていた世代が抱えていた何かだった。
ぼくはずっとそれを大事に抱えて生きていた。しかしぼくはその義とは何かを上手く説明することができない。
けれど、それは20代の自分たちを駆り立て、30代の半ばへとぼくを運んだ動力源だったと思う。
しかし、いま公園の草はらに寝転びつつ、こんなことを語れる理解者もぼくにはいない。
ましてや遊具で遊びまわる子供たちもいない。さて、と観念の公園で、ぼくは立ち上がる。「ちゃんと生きよう」と。
リアルな世界に戻って、寝るのだと。