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自分(id:happysweet55)のことを語る

安西哲雄訳のシェークスピア『リア王』を読む。生々しく、凛々しい、英文学の匂いを久しぶりに嗅いだ。
ぼくの生活から、長い間、欠落していたのは、この凛々しさだと思った。
清冽な精神というか、分からない外国文学、人生の問題に果敢に挑むという気持ちだ。
17、8〜25歳まで、ぼくらはいつも古本屋で買った文庫本をポケットに入れて過ごしていた。
福田恆存訳のシェイクスピアを読むことが成長であり、人生への挑戦だった。
マジマジとそんな若い日々を思う。堕落してたけど、ぼくの精神は清潔で、高邁な理想に燃えてた。
本なんか読んで何になるんだ!とか、教養なんて意味がない!とか思わないこともない。
それより稼ぐことのほうが大事だと。金持ったり、家を持ったり、子供がいるヤツのほうが勝つだと。
なるほど、それも分からなくはない。でも、ぼくはそれよりシェイクスピアの一節を語れる人でありたかったのだ。
「わしらはみんな 、この世に生まれて 、道化ばかりの 、この 、世界という、巨きな舞台に放り出されて 、泣いた」のだ。
これが、ぼくの中でのカッコよさであり、豊かな人生だったんだ。
ボルボに乗ることとどっちがカッコいいのか、いまだに分からないけれども。