かぐや姫 30 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝
皇子は、おじいさんの歌を聞き、歌を返しました。
我が袂今日かわければわびしさの
千種の数もわすられぬべし
二人が話をしていると、金工が六人、庭へやってきました。
そして、一人が、文ばさみに文をはさんで訴えました。
「内匠寮(たくみづかさ)の金工、綾部の内麻呂が申し上げます。玉の木の枝を作るために、五穀を断ち、毎日神仏に祈りながら、千日あまり玉の枝の制作をしました。でも、くらもちの皇子から、まだ玉の枝の謝礼をもらっていません。ちゃんと謝礼をいただき、貧しい弟子にやりたいのです」と。
