「全盲の」音楽家に感動する心の裏には、そんな人間に大したことはできない、という無意識の差別感がある。そしてギョーカイには、障害でもなんでも儲けのタネに利用する風潮がある。(長谷川)きよしがマスコミに背を向けたのには、それもあったに違いない。
一作曲家の代作がバレた。代作事件にしてはえらい騒ぎだ。大手マスコミが軒並み謝っている。これまで代作に気づかず、持て囃したことを反省すると。的を外すな。よく考えろ。ただ作品を持て囃したのではあるまい。
「全聾の」のレッテルで我々の差別感を助長し、営業に資したことをこそ、この際、深く反省し改めてほしいものだ。
中山千夏(東京新聞2014年2月8日夕刊「紙つぶて」)