卵かけごはん。

温いごはんに冷たい生卵、というのがあまり好きでない。そして、これを好きでないと思う感覚には、その昔、言われるたびに苦手だ苦手だと私が答えたにも関わらず、おいしいで おいしいで、と しつこく勧められた経験が関係していると思う。

ものの好みは言うに及ばず、どんなことでも “人それぞれ” が基本だと思っている私は (そんなこと言うまでもなく当たり前だろう、という感じだが、“人それぞれ” とは考えない人たちも案外いる、と のちにわかった)、拒否しているのに強く勧められるとかいうことが、非常に嫌いである。勧めている側はよかれと思ってのことかもしれないが、拒否しても拒否しても何度も勧められるというのは、つまるところ、押しつけや無理強いに通じる。“人それぞれ” が基本の私には、それが我慢ならない。そっちがおいしいと思うのは勝手だが苦手だ苦手だとさんざん言っている人間にまで勧めるな誰もが同じ感じ方をするわけないとなぜわからんか、と苛立っていた。

だから、私が卵かけごはんを苦手だと思う感覚には、昔そうやってしつこく勧められ、そのことを非常に鬱陶しく思っていた気持ちも、結構加算されていると思う。