いいたくないけど江戸っ子でねぇ、しゃべってるほうはしとひの区別ちゃんとついてるんだけど、周りはそうはとってくれないの。タクシーのって「広尾まで」っていってんのによぉ「し、しろおってどこですか」って訊きやがってよぉ、あったま来ちまってさあ、嫌な渡世だよね。めんどくさいからぜんぜん飛ばさねえ都バスのっちまったけどね。でね、この前さ、蝶ネクタイの電気羊を呼んだのさ、おい、電気羊!って。きゃつは全然振り向いてくれないから、こんどはおーい電気羊さん?って丁寧に云ったの。したらあいつ、私は電気執事ではありません、ってこきやがってさあ、ほんとイヤになっちまってさ、てめえいい度胸だ、ジンギスカン鍋にぶち込んでやる!と思って鍋を探そうとしておれ、…気付いたね、
…電気羊かってなかった。
うちの電気羊が…のことを語る