【ルネサンスの世渡り術】
『バイエルの謎』で、バイエルについて書かれたものがドイツの音楽事典だか音楽家事典だかに1つだけ、しかもほんの数行しか見当たらなかった、という話が出てくるのだけど、その記載のされ方がすごかったんだよね。「おびただしい数の他人の曲や流行歌の編曲で食べてる、オリジナリティの欠片もない凡庸な作曲家」みたいな感じ。
ここ読んだ時に「芸術家列伝みてー、これもヴァザーリの影響力か?」と思った。読んでないけど、時折話に出てくる『芸術家列伝』はまさにこういう感じだったので。
この音楽事典成立時は編曲は非常に価値の劣る作業とみなされてたのだろう、と、『バイエルの謎』の著者は指摘していた。こっちの『芸術家列伝』も、芸術家というものがどういう存在でどうあるべきとみなされてたかという当時の判断基準にてらして書かれてる(故に当時どういう存在だったかがわかる)という指摘がある(さらにその上、就活中というヴァザーリの個人的な都合も絡む)。
文字として残ってる資料は大事だけど、それを書いた・作った人間の思惑や偏りの可能性を常に頭に入れとくこと大事。
特に歴史絡みと統計。
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