id:ss-rain
しまのことを語る

超短編
目が覚めて、夢だったとわかった。
白いワンピースを着ていた。同じくらい白い腕をしていた。肩の上でふぞろいな髪が時折揺れた。細くて小さな体には、白いワンピースは痛々しく映った。
言葉を交わしたはずだが、その内容は抜け落ちている。
ひとけのない部屋ですら耳をそばだてねばならないほど、小さな声でぽつぽつと呟いた。
それでもいじらしく、時折、笑った。
白い部屋、白いワンピース、白い腕。
白い夢。
 
天井の隅が暗い。物の輪郭が浮かび上がっているので、もう夜明け近いのだろう。
目をしばたかせる。
涙は出なかった。