「このハムエッグ、いつもと違う..」
「そうだろう、いつものスーパーで売ってる4枚切りパックじゃないぞ。紐で縛った太っちょのハムは見たことがあるだろ?あれを少し厚めに切ってつくったハムエッグなんだ。美味しいかい?」
「うん、すっごいジューシーで美味しい..」
その朝、ランドセルがほんの少し軽く感じた明子であった。
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その男の好物はしいたけであった。
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夢の中が現実で、夢から覚めたら夢で。
どうやら悪い夢をみていたようだ。
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帰りの電車で今日が七夕であるのを思い出した。
小さい頃は学校で作った短冊に願い事を書いて飾っていたりもした。
大人になってからはそんなこともめっきりさなくなった。
願っても叶わないことが多いことを知ってしまうと願うことさえめんどくさくなるのだろうか。
駅を出て夜空を見上げた。梅雨時の天気では星空も見えない。願うことを拒むかのようだ。
ふと、メッセージを受け取った。何気ない会話だった。
思い立って、七夕のことを切り出した。
彦星と織姫は天の川を渡って出逢う七夕の話。よく思うと、雲の上ではいつも出逢えているのではないか。
雲で見えない夜空…[全文を見る]
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三歩進んで二歩下がる毎日だとしても、皆、前に進んでいると信じている。
同じ場所をグルグル回っているだけとも知らずに。
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アロエさんは軽くため息を吐きながら床のくつしたを拾う。
ほうっておけばいいのに。
手元のカゴに入れたらテレビとビデオのリモコンを拾って棚に上げて鼻歌。
いい天気とは言っていたがまだまだ地面は湿っている時間だ、焦るんじゃない
という顔をしてみせたらこのおふとぅんは諦めたが
気を付けないとあれはわしらまで一緒に洗濯機に放り込みかねん。
それだけは御免こうむる。(一度うっかりハマって死にかけた)
「きねんび」というのはいいものらしい。
「はじめての」というのもいいものらしいから
たぶん昨日は二人にとってすごくいいものだったのだ。
猫の日…[全文を見る]
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「なにしてるんですかなにしてるんですか」
「いえ見えないと云われたもので」
「見えない? 誰にですか」
「誰だか……とにかく耳はいいものですから聞こえるとどうにも気になって」
「それでいつもの場所を降りて月をお担ぎになっていると」
「そうです」
「それはいけませんいけません」
「はあ」
「なにしろ月はあなた様の飛行力で飛び立っている」
「は」
「あなたが乗らんと月は飛ばぬのです」
「はあ!」
「なので乗ってください、さあさあ」
「飛ぶ……わたしはてっきりえんしんりょくというもので月がこう……上がっているのだと思っておりました」
「あなた月が飛んで…[全文を見る]
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昼間の仕事での不愉快な出来事について、不満をこねくり回しながら下書き線の上に一目一目愚痴を縫いつける。
一通り不満も刺繍もひと段落したので顔を上げて一息つくと
手元の布の上から何やら小さいしかし大勢の声が一斉に聞こえる。
自分が縫い付けた愚痴が刺繍の目から漏れ出してしまったらしい。ふふっとつい笑ってしまったら縫い目がクモの子を散らすように、さあっとあちこちに逃げていってしまった。
手元に無地の布だけが残ったのを見て爽やかな気分になった。愚痴も一緒に連れていってくれたのだろうか。
明日も頑張れそうだ。
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ちくわぶ17才。「小麦粉な奴はだいたい友達」と嘯く彼の親友の名はグラコロバーガーという。
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大人たちが釣り糸を垂れる。竿先は重い。くり抜かれたかぼちゃがぶら下がっている。中にはこまごま包まれた菓子が詰めてある。
人がまばらな辺りまで辿り着いて腰を下ろす。連れが首を伸ばして見下ろす先は暗闇奈落。この場所がかつて高層の天辺であっただけなのだろうが。天辺も古びて並べば河のない岸である。
夜空は仄明るい。こちらと向こう岸の釣り人の手元の灯り、屋台の提灯。辺りの色はぶらぶらと揺れるかぼちゃとさして変わらない。
連れはかぼちゃを縦に割ってくり抜いてしまった。丸ごとと見比べるとすこぶる安定していない。不満が顔に出ていたらしく
「ひとり…[全文を見る]
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「こいつ、俺の幼馴染み。3年後の未来が見えるんだ」
「きみがそういうなら本当のことなんだろう。試しにはてなハイクの3年後を教えてくれよ」
「…あれ?何も見えない…」
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濃い執着も分解すれば虹の弧を描き霧散してよい程度になるとした博士の発明は、しかし実験されたどの執着にも虹を生むほどの光はなく闇が黒く虚しく残るばかりであった。
時が費やされ執着の色分解を遂げた発明は色とりどりの円をべったりと焼き付けた。震える博士の傍らで、濃い執着ほど鮮やかな色を放つのだと彼の弟子が熱弁を振るっていた。
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「母さんたすけて」
「甘ったれるんじゃない。おセンチな感情なんて捨てろ。パシィ」
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ひるごはんを食べ終えたばびは飢えに苦しんでいた。
彼はこんびにのぱんやにくまんでなんとか飢えをしのいでいた。
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「事務の生産性が低い。今後なんとかせねば」
偉い人が目の前の私にわかりやすいように噛み砕きつつ
仕事の効率化や今後の事業の方向性など多岐にわたって話をしてくれている。
なるほど、たしかにこの1時間した仕事は目の前の人にお茶を出したのと話に相槌を打つだけである。
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リーリッルー短篇セレクション 第四回
はじまり by リーリッルー(id:lilliloo)
会社からの帰り道、川べりの鉄塔に鈴成りの神々がぶら下がっていて、「忘れたか」と囁きかけてきた。振りむくと、置き去りにされた凧だった。鞠のような牛のような生物が、子供のころよく遊んだ文化会館の屋根にしゃがみこんで、「無くしたか」と書かれたプラカードを掲げていた。それは遠くにあるガスタンクのようにもみえた。
それはそれとして、ふと目に入った地平線。子供のころから気になっていたけれど、端のほうがめくれかけている。昔は背が届かなかった…[全文を見る]
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リーリッルー短篇セレクション 第三回
宵闇のガリレオ by リーリッルー(id:lilliloo)
いつのまにかこの列車に乗っていた。産まれた時から乗っていたのかもしれない。ただ、気づかなかっただけで。
うっすらと西日が差しこみ、けれど視野のほとんどは群青の宵闇に満たされている。列車の乗客はみな個人個人の時間をすごしていて、互いのそれが交わることはない。ゴーストのように半透明な乗客たちの時間が隣接したとき、ぽぅとほの白い灯りが生まれ、揺らめいては消えていく。
車窓から眺める風景は嫌いだ。地平まで赤と黄のかざぐるまが埋まり、…[全文を見る]
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リーリッルー短篇セレクション 第二回
Loli & Popby by リーリッルー(id:lilliloo)
ボンネット、パニエ、プリンセスワンピース、おでこ靴。全身をBABY,THE STARS SHINE BRIGHTのロリータファッションで飾りたて、キミはボクの前に立っている。
「――ねェ、さわってもいいのよ」
そう云って笑ったキミだけれど、一体キミはどこにいるんだろう? 触れてみるとコットンはふかふかと沈みこみ、シルクのリボンに足をとられてボクはつるつると滑っていく。どれだけ探しまわっても、キミの中にキミの姿がみつからない。
「――だって仕方ないじゃない…[全文を見る]
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気に入っていただけてほっとしました。ありがとうございます。
>どこを見ていたのか
この言葉に、ああ、こういうの、共同作業の醍醐味だよなあ
って嬉しく思っています。
憧れていた方の作品でそんな言葉が聴けるって最高です。
少し早いクリスマスプレゼントをいただいたような気分です。
がっかりされないように、あとの作品もがんばりますね^^