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今日読んだ本のことを語る

石井桃子 『ノンちゃん雲に乗る』

25年ぶり再読。美しい国、日本。
もの静かで頼もしい両親、賢い犬、やさしいご近所さん。
朝はおみおつけとご飯ではじまる。布団を上げ、顔を洗っておかあさんにご挨拶。
この世界にあんなに憧れていたのにわたしはこんな大人になってしまった。ああ。

また「兄が出来のいい妹にやりたい放題なのは当たり前」
という結論に今では疑問を覚えるようになってしまった。
ノンちゃん感じる理不尽さは当然のものなのに誰もフォローしない。
うそつき呼ばわりしたり乱暴したりしたことは謝っていいところじゃないのか。
なんでもできる賢い少女は杓子定規と非難され、腕白小僧は悪気がないと愛される。
追記された大人になったノブ子の出世振りがそれに対する反論のように思えた。

しかしこの時代の子供や犬は本当に賢い。大人はちゃんと大人びている。
世界がちゃんとしている。
でも過去がよかったということじゃないんだろうな。
少し前の夢野久作や江戸川乱歩の時代のどろどろぶりと裏表だったのだろう。