確かにガチョウは金色の卵を産みましたが、言うても卵の殻
中身も白身と黄身に過ぎず、特別な栄養価があるわけではありません
1日1個ではブランド卵として流通に乗せることも難しく、結局は家で食べて終わっていました
ただ、クリスマスの頃、子供たちが卵の殻でモザイク画を作るときには、金色の卵の殻はたいへん喜ばれました
最初は何の役にも立たないと腹を立てていた男ですが、子供たちのために金色の卵の殻を取っておくことが、何よりの楽しみになりました
そして、月日は流れ
あるクリスマスの朝、すっかり年老いた男のもとを子供達が訪ねました
子供たちの手には、金色の卵の殻で描いた男のモザイク画がありました
男は窓辺に絵を飾ると、同じように年老いたガチョウを膝に抱きました
痩せた首から、まばらになった羽根まで、ゆっくり撫でると、ガチョウは気持ちよさそうに目を閉じました
もう卵を産むこともなくなったガチョウを、男は最後まで手放すことはありませんでした
打ち切り童話のことを語る