真夏以外の秋口から初夏にかけて（時には真夏も）犬は、人間のベッドの上を基地としそこでぼんやりしたり眠ったりぐるぐる回ったりしています。朝も昼も夜も夜中も、です。だいたい夜だけ、人間も一緒です。人間が起きると毎度ベッドメーキングをするので、犬にはどいてもらいます。だいたい人間が起きてしばらくは大きなベッドの上で仰向けで大の字に寝ている犬なのですが、「そろそろどいてねー」の声で首だけこっちにむけ、２〜３回声をかけると渋々ベッドから降りる、という感じです。わかってないのではないの。10年も一緒に住んでるからわかってる。あれは犬の「めんどくさ〜」です。

ところが、人間には目の前の事に気をとられるとその仕事を完遂せず他のことを始めてしまう、という特性があって、どかされてすぐにベッドメーキングをするわけではありません。特にハイカーだった頃は、毛布を持ったままハイクする、ということがなんどもありました。そこで犬は、人間がハイクを始めたらそろりそろりとベッドに移動しようとするわけです。これが本当にそろりそろり、でおかしい。まるでそうしたら気がつかれないで済むとでも思ってるように。もちろん、狭い家なので人間の目に入っています。人間は目の前のことに集中して作業はできないけれど、今、犬にベッドに乗られたらなんとなくめんどくさい、ということはわかる。そこで、「まだだよ〜」とか「だめ〜のらないで〜」とか声をかけるのです。犬は仕方なく、長いお腹をペタリとベッドの下のフローリングにつけて待機。カーペットはあるのでそこにお腹をつければいいのに、と人間は思うのですが、おそらくあれは、同情を得る作戦なんだと思います。「ああ、あんな冷たいところに…お腹壊しちゃう。とりあえずこれを書いたら、ベッドメーキングしてあげよう」と思うわけですから。