「反逆者の沈黙」
二回見ました。事件が全部で四つ起こったので、初見時はちょちょちょ、つめこみすぎでは、わたしびっくりしたわよ! と思ったのですが、振り返ってみると一貫したものがありました。
印象的なのは、今回の主人公、ジェームズやフォイルさんが「質問ばかりする」と疎まれること。何か大きな機械やしくみの一部になってそのことに自覚なく生きていると、質問をする人や、立ち止まることを要求する人にいらだちをおぼえるもので、戦争が終わって間もないときであればなおさら、そのような衝突はあっちでもこっちでもあったのだろうなあと想像しました。いつでもあることだけれど。その視点から見ると、フォイルさんの粘り強さやサムの明るさに比べるとちょっと頼りないミルナーにも自尊心はあって、きっとふんばって生きていくだろうなあと思う。
ミルナーにはグレアム・グリーンを差し入れしたフォイルさんが、ジェームズにはイヴリン・ウォーを差し入れた。そのとき、フォイルさんはまだジェームズの秘密にはたどりついていなかったけれども、ジェームズが本を見て「(今の僕に)ぴったりだ」とすこし笑ったのが、二人が間に秘密を置いたまま親密さをまとっていくようで、よかったです。
刑事フォイルのことを語る