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田宮二郎のことを語る

白い巨塔、リメイクは見てない…と言うか、山崎豊子モノは母がのめり込める数少ないコンテンツなので「またやるらしいよ」とは伝えたのだが、「いまいちのめりこめんかった。やっぱり若い役者さんらに付いていけないのかも」みたいな感想を聞いたのみである。
母にとっては田宮二郎主演の映画がベストであり、唐沢俊明主演のフジテレビ版は田宮二郎版に比べればすこし軽いのが残念だが主題歌はネ申(賛美歌だけに)とのことである。

んで、そのフジテレビ版、CS放送で頻繁に再放送されるんで母とともに見ていて思ったんだけど、やはりあのドラマで最も痛快なところは原告側勝訴の決め手が看護記録だったと言うところではないだろうか。
物語は医師の世界の中での立場への執着をめぐるものであり、その執着故に作られた盲点が医療事故を生み、そして執着故に過誤を否認し、そしてその証拠潰しは医局の記録には及んだものの看護記録を見逃がさせた盲点を作ったものはなにかと言えば、やはりその立場への執着だったのではないかと思えば、見ている側としては「ザマミロ」と胸のすく思いがするのである。

で、そこで最終的な財前の死をどのように解釈すべきかなんだけれど、あれは執着の原因を同情できる形で切り取ることだったのではないのだろうか。

まぁともかく非常に重層的な作品であることは間違いがないのだけど、単なる社会性があるとかそういったことだけではなく、あるいは医療や法廷という、これまで描写されてきたものを思いおこしながら見なければならないミステリー性のある題材の選択、そしてその結末の痛快さといった娯楽性への意識が結構あるんじゃないか、それがあの人気コンテンツの秘密ではないか。だって痛快なドラマを見たあと社会について考える端緒を掴んだような感じだってして二度美味しいもの。