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のことを語る

世の中には「生きた花の世話が得意」なタイプと「死んだ花の世話が得意」なタイプが存在する。
前者は私の母・祖母であり、後者は私である。
母や祖母はとにかく園芸や野菜栽培が趣味であり、生活の一部であるのに対して、生まれた時から植物を育てるのが生きがいな人に囲まれて育った私、まったく園芸に興味が沸かない。
「どこそこの山にはこういった植生があり、こういう野生生物が暮らしている」という知識を蓄えたり、その辺に生えている野草の名前を判別したりするのはわりあい好きな方だと思うが「さぁ、今日からお花を育ててみましょう」と母に促されて、種まき、苗植えなどしてもすぐにその存在を忘れて放り出してしまうことが今まで何度となくあった。 
結果、恥ずかしながら農家の娘であるにもかかわらず、満足に野菜の一つも育てられないまま、現在に至る。

冒頭に戻るが「死んだ花の世話」というのは生け花のことである。
母も祖母も「花瓶に花を生ける」まではするのだが「その後こまめに水を取り替えたり、枯れた花を除いたりして綺麗な状態を保つ」ということを一切しないのだ。 
私は高校の部活で生け花に親しんだことがあり、今でも花を生けると「お花がそっぽを向いています」という先生のお言葉を思い出して若干の緊張が走る。

死んだ花が無駄死にになるか、見た人のオアシスになるか、生けた人の気遣い次第なのだ。