@kodakana_ship10
食糧問題のことを語る

六畳間から始めるネズミ牧場

菜食主義に同意するかどうかに関わらず、実際上の問題として、数十年後には今のような肉食文化は維持できなくなるかもしれない。水産資源は基本的に天然であり、消費が増えても生産は増えないことから、すでに枯渇の危機に瀕している。代替として有力なのは、大豆のような高蛋白の栽培植物か、ネズミのような繁殖力の強い動物だ。

ベトナムの農村や中国南部の壮族などにはネズミを食べる文化がある。漢方薬にはネズミの肝を材料にするものがあるそうだ。モンゴルでもタルバガンというネズミの仲間を食べる。ウサギやリスも大きく見ればネズミの仲間だが、そこまで広げれば食べる文化は珍しくない。日本でも昔は鳥肉扱いでウサギを食べた。同じ齧歯類なので肉そのものに大きな違いはないと言えるだろう。手塚治虫の『火の鳥』でも遠い未来にネズミを食糧としている描写があったと思う。

ネズミと言うと不潔で危険という印象があるが、これは生育環境の問題に過ぎない。良い環境で育ったネズミ肉は食べても安全であることは、ベトナムなどの文化によって実証されている。下水道育ちのネズミは食べられないし、その必要もない。ネズミはどこでも殖えるので、食用の品種を開発して牧場を作れば良い。

牧場といっても、ネズミは小さいので、牛のように広い土地は必要としない。大消費地である大都市の、街中のアパートの一室でも、ネズミ牧場は開業できる。そうすると運搬にかかるエネルギーも節約できるので、より自然に厳しくない経済になる。

片手間の内職でもネズミ牧場は運営できるだろう。
「六畳間から始めるネズミ牧場! あなたもやってみませんか」
そんな勧誘の広告が踊るかもしれない。
「一般住宅で年商一億円の人も!」
詐欺の種にもなるかもしれない。