@kodakana_ship10
/言語学のことを語る

日本語の文法とは……


1972年に発行された『カード古典文法』という本がうちにあって、著者の青木一男は高校教諭だけあって学校教育向けの内容で、「こうだ、こうだ」の羅列で、これじゃ憶えられても理解できはしないよね、というそんな感じの反省から、藤井貞和『日本文法体系』という本は生まれたのだろう。2016年の発行。

isbn:4480069267
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この本では、助辞/助動辞を中心に、個別の説明ではなく体系的な記述を試みている。例えば語尾に付く「き/り/し/む」は、それぞれが関連を持っていると考える。そして「り」はアリのアが落ちた形であって、「き」と「り〔アリ〕」の間に「けり」が出来るというふうに、関連性によって理解できるようにしている。

こういう理解の仕方を、教科書に落とし込めたら、学校文法がずっと良くなるだろう。

ただ日本語の語順=構文の問題については、頁数もあまり割かれていなくて、不十分ではないかと思う。語順というのは、中国語ならば「我読書」を「書読我」にしたら文意が変わってしまうので、それが何の働きをしているのか分かる。日本語ではこういう機能を「てにをは」とか付属的な形式がほぼ担うので、では語順は何をしているのか、あるいはどうあるべきかの判断が分かりにくい。

これは私は大問題だと思っているのです。だって、物を言う順序が決まらないと文章は書けないでしょう。これについては別の機会にちょっと書きましょうか。

あと、この本では物語の人称や、和歌の技法の文法的理解を試みている所は、教科書には無いことで、面白いなっと思いました。