「狂言では、必ずどなたの中にもある弱さや愚かしい一面を描いています。
しかし、それを糾弾したり責任をとらせたり、非難したりせず、『それでもいいんだ、それが人間なんだ』と笑う。
最後は、後味が決して悪く無いものにしてある、そういう人間賛歌の芸能なんです。」
ー狂言方大蔵流四世山本東次郎
https://sunchi.jp/sunchilist/kanagawa/13396
若い頃、私にとって世界はとても居心地が悪いところでした。そんな私を助けてくれたのは、文学、演劇、音楽、美術、映像などの芸術文化でした。作品のなかでは、この世の中で糾弾され非難され、あるいは蔑まれるものの中にも美しさや共感が見出されていきます。あらゆる人間性が肯定されえます。東次郎先生のことばはそのことをとてもわかりやすく平易に伝えてくださいます。
文化を大事にすることは、人間性、そして存在そのものを大事にすることに通じていると思います。私たちが大切にされたいなら、芸術文化も大切にされなければならないのです。