我が故郷岩見沢は鉄道のマチでした。
そのマチの中心には、五角形の青い大屋根がシンボルの駅舎がありました。
決して大きくはないけれど古めかしく風格のある佇まい。
それは、戦後の復興をしっかりと支えた、空知の一大産炭地を背後に控えた駅。
北日本随一の広い操車場。そしてそこからいくつにも分かれ行く支線。それは市民の誇りでもありました。
駅前通はどこまでも真っ直ぐで、その姿はどんな遠くからでも望むことができました。
隣街へと通勤していた母を、毎日のように迎えに通った駅。
他の地へ旅立つ第一歩の緊張感を味わった駅。
人生のいろいろな節目に、この駅がありました。
その思い出の駅舎が、一夜にして火事で燃え尽きてしまったのが13年前の12月。
あまりに突然の出来事で、この目で見るまで信じることができませんでした。
変わり果てたその姿に愕然とし、泣き崩れたことを昨日のことのように思い出します。
いろいろな思い出に彩られた駅。
ただの建物のはずなのに、こんなに悲しいなんて。
本当に自分はその駅に、深い愛着を持っていたんだと改めて思いました。
そして時は流れ、駅は再建され、とてもモダンで清潔感のある駅に生まれ変わりました。
この駅も大好きです。
これからもこの地でいろいろな人々に愛されていく、思い出の駅となることでしょう。