【映画館と睡眠と私】
映画館は「寝ろ」と言っているようなものだと思う。暗いし、いい椅子だし、しかもその椅子、ちょっと後ろに傾斜がついているし、新しい映画館だとリクライニング機能まであったりする。
以前、「マスター」という映画を大変楽しみに見始めて、ホアキン・フェニックスとフィリップ・シーモア・ホフマンが仲良くなったところで暗転して目が覚めたら二人は袂をわかっており、「一体何があった」と思いました。後でDVDで見たらそれはみっしりとおもしろい映画で「なんで寝た」と悔しくなり、それ以来、目薬をもって映画館に臨み、予告の間は目を閉じ、なんなら一眠りしておくという念の入れようです。これで「ブレラン」も「パターソン」もばっちり。
そんなわたくしですが、ウディ・アレンの映画だけは二本立てで観て、片方は何なら寝る、くらいの態度で臨んでいます。寝ようが寝まいがびたいちもん影響ないのがすごいです。ああ、ジェシー・アイゼンバーグが美女ふたりのあいだで揺れているな、ジェシー・アイゼンバーグのくせにそんなわけあるか……ぐー……という感じです。豪遊した気持ちになります。