『馬を放つ』原題:Centaur、監督・主演:アクタン・アリム・クバト
・村の中に泥棒として位置づけられている(別にしょっぴかれもせず、特に恐れられもせず、ただ泥棒として認知されている)人がいて、この人が馬泥棒の濡れ衣を着せられて村の実力者みたいな人(暴力のプロ)に殴られて悔しくて真犯人をひっとらえる作戦を立てて、にもかかわらず……的なひどい目に遭い、そんな中でたいへんまっとうな発言を繰り返すのです。
・主人公は二世代前くらいまでは馬を生業としていた一族に生まれたのだが、激変する時代にあって馬とともにある生活を祖父や父が失っていくのを見ながら育ち、そんな彼らに対する忸怩たる思いを……感じたかというとどうだろうという感じの人生で、ただただ馬が好きで、女性が好きで、映画もちょっと好きで、ふっとやらかしてしまうことが重なって大変なことになるのですが、本人がそれをどの程度「たいへん」って思っているかわかりません。
・20 世紀って罪の世紀なので、過去に耳を傾ける映画は勢い胸をえぐるものになりがちですが、この映画は主人公が何かと対立しているつもりも、糾弾しているつもりもないので、そういうことからはわりと自由。自由……
・日頃から 50 人くらいで話し合って協力していろんなことを決める習慣が根付いている村なので、みんな弁が立ちます。かっとしているように見えている人も、流れるような弁舌。
・そんな中、無言か昔話のどっちかくらいしか手札のない主人公はなぜか女性にもててしまうようでした。
・主人公以外のみなさんのしっかりと日々を送っているまっとうさが際立ちます。
・馬、よかった。かっこよかった。馬最高。
・あひるちゃんもよかった。
書きながら急速に忘れていく……
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