そうか、観客にとっては「見えてはいけないものが映ってしまうこと」と「見えていなければいけないものが見えなくなること」は同じことになるんだ。
舞台上にスタッフが見えてしまうと、観客の視界の中で舞台空間がそこで「切れて」しまうのと同時に、現実の空間が「見えて」しまう。
見切れ席はそれが常時起こっている席。舞台空間が「切れて」、本来なら視界に入らないはずの舞台袖のようなものが「見えている」席。
また、フィギュアスケーターの動きが速すぎてカメラが追いつけなくて画面から選手が消えると、現れるのは舞台袖のような観客席やテレビクルーがあわてる姿で、これまたスケーターと音楽と氷だけのはずの空間が「切れて」、本来なら視聴者の目には入らない約束事になっている舞台裏のようなものが「見えている」状態。
「見切れる」は「本来見えているはずの空間が切れて」「見えないはずのものが見えている」状態のことだったのかあ。