昔々、私がおすすめです! って言った「Mr. Long / ミスター・ロン」について重大なことを言い忘れていました。
日本の人身売買を題材にしているのです。ということは当然、差別や貧困が背景にあって、今でも思い出しては「……」と震えてしまう、そういう映画です。「万引き家族」が賞を取ったとき、自分たちが生きている社会の恥部を映画にするなんて、というナイーブな反応がありましたが、「万引き家族」より少し前、「Mr. Long / ミスター・ロン」で、非常に貧しく、しかし実際暮らしていれば日々目にしている風景が目の前で展開して、体の芯の冷えを自覚させられる、そういう体験がありました。
そこにふわっと妖精のような殺し屋チャン・チェンがやってきて、あちこちぼろぼろになっている地域を底の方からふわ〜っと混ぜっ返して、それで人々が一瞬夢を見る。
というわけで、おすすめです。
雨子のことを語る