平野 大体現代文学の常識からいうと、志賀直哉の文学というものが現代日本文学のいっとうまっとうな、正当的な文学とされている。そういう常識からいえばここに集まった三人の作家はそういうオーソドックスなりリアリズムからはなにかディフォルメした作家たちばかりだと見られているが・・・・。
太宰 冗談言っちゃいけないよ。
平野 いや、冗談じゃない、ほんとの話だよ。太宰さんはすでに少々酔っぱらっているから・・・・。
坂口 平野が言う意味は向こうが正統的の文学だとすれば、俺たちがディフォルメだというのだよ。
平野 それはそうだろうと思う。いくらあなたがそうじゃないと頑張ったっても・・・・。
太宰 オレにはちっとも分かっていやしない。ディフォルメなんて・・・・。
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