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好きな説明のことを語る

男の中の男のような豪毅なヒーローが、自分よりずっと目上の、結ばれるはずのない高貴な女性に思いをよせ、それを秘めたる恋として心の中にかくしたまま、彼女につくしぬく。これは男尊女卑の日本の堅実化の伝統には欠けているが、西洋では中世の騨士道物語の基本型として成立して以来、メロドラマの中心的なパターンとして続いてきたものである。日本でも近代化以来、堅実化の中に西洋的な型が徐々に入り込んでくるが、一見これこそ日本的人情話だと誰もが思う物語の中で見事にこの西洋的な型を消化していたのが「無法松の一生」である。