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apoのことを語る

[引っ越しが終わって]
 
3年前、あるセラピーの練習会で。
「片付けられない」ってことをテーマにしたら
「片付けたら、彼が帰ってきてしまうから」という思いがけない無意識と出会った。
「彼」は、12年前にこのマンションに引っ越してくるとき、同棲していた相手。
そして、その年、決別を決断した相手。
その決断がかなりヒステリックだったせいか、
「彼」にとって、わたしとの関係は続いていたらしいし、
「彼」の荷物を送ったとき「事前にいつ幾日に着払いで送るから」と
連絡したときは了承したのに、案の定、連絡がつかなかった。
幸い、「彼」のルームメイト(海外からわたしが送った荷物を勝手に開封して、食い散らかした奴だ)が
たっぷりの嫌味と引き換えに受け取ってくれたけれど
後日、その送料がバカバカしいと「彼」から文句を言われた。
でも「それは御生憎さま」と軽く聞き流せた。
だって、わたしの居場所からそれらがなくなった
そのことが明るい可能性であり、明るい真実だったのだから。
 
その「彼」が帰ってくることをわたしは3年前まで期待していたらしい。
 
恐れや不安の裏側には、確実に期待もある。
その期待を裏切られることに恐れ、不安を感じているのだから。
 
わたしの場合、どんな期待だったのかはわからない。
たしかなのは、この場所、つまりこのマンションにそれから10年住んでいたということ。
身動きできなくて。
管理人さんも大家さんも実に親切でいろいろ面倒見てくれたし、
「婚約者」という名目で同居人になった「彼」がいなくなったことについてうるさく聞かれることもなかった。
タバコ屋も中華料理屋もカレー屋も顔なじみ。
そんな親切ややさしさ、ぬくもりのなかでわたしはじっとしていた。金縛りになってみたいに。
だから動く気になかなかなれずにいた。結婚してからも。
見方を変えれば「閉じ込められていた」とも言えるかもしれない。
 
わたしがそこで何を待っていたのかわからない。
もっともダーリンに会うまで、つまみ食いも拾い食いもそれなりにしたわけだけれども、
誰にも「連れて出してほしい」と頼まなかったし
誰もそこに踏み込んでこようとはしなかったし、
わたしもわたしで、ずっとここにいて、ずっとこのままでいるつもりだった。
だって身動きがとれなかったから。
 
そこをこじ開けてくれたのがダーリンで
動かしてくれたのが、先日、手伝ってくださったみなさまです。
実に情けないことにわたしはあの重力に縛られたままでまったく何もできませんでした。
しかも当日まで「動く」という現実に戸惑っていました。
 
で、今、たしかに出たわけです。
それを実感しています。
長かったようにも思うし短かったようにも思います。
でも、わたしは再び自由になれたような気がしています。
みんなのおかげで、ね。
 
ありがとう。
 
で、このナイスな環境を有機的に使うプランを妄想中です。