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今見ているテレビ(録画)のことを語る

BSスペシャル「dear hiroshima」

石内都さんが原爆の遺品を撮影し、バンクーバで開かれたその展覧会のドキュメンタリー。

とにかく写真がエキセントリックではなく、まず、美しいのがいい。布が綺麗。色が綺麗。
「悲惨」よりまず、「美しい」がくる。

綺麗な布のワンピースと「シミーズなのよ、これ。Aラインのワンピースって言っても、おかしくないわよね」と言ってる場面で、この美しい布の服を下着として着る、というそのおしゃれ心を思った。

赤い薔薇の刺繍が施された黒い防災頭巾。さぞ素敵な着物だったろう。
防災頭巾にその着物を使う、という心を、愛しく思った。
(もちろん、そうしなければならない、という事実が哀しい、と言うのはあるのだけど)

どの写真も、悲惨さの前にその美しさと文化と生活を伝える。

石内都さんは私服もずっと和布系で、布が好きなんだろうな、とは思っていたんだけど、途中「織物をやってた」ときいて合点がいった。
この方は、遺品である布(服)を見た時、焼けこげの前にその模様と、織を美しいと思ったんじゃないか。そしてそれを写そうとしたんだ。

焦げた部分やちぎれた服に焦点を合わせるのではなく、
その美しい布やおしゃれな形、それを身につける、と言う文化に焦点があってるんだ、と思った。

だから、これらの写真は、こんなにも美しく、こんなに美しいものを来ていた人が、もういない、と言う事実が、こんなにも、哀しい。