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最近観た映画のことを語る

「ゲキシネ×劇団新感線 髑髏城の七人(小栗旬主演)」

・早乙女太一の殺陣が相変わらずかっこ良かった。最初の登場シーン(斬りつけて登場)とか、格好良過ぎてのけぞった。あれ…足だな。早乙女太一、足の使い方が巧い。森山未來も。フットワークが軽くて動けるから、二人の殺陣のかっこいい事と言ったら。

・主役が完全に空気。悪くはないけど、良くもない。
主役が出てない所の方が、舞台の熱量が高いし、クライマックス感が強い。主役の作るクライマックスが、全くそれを越えてこない。
二幕の最初、森山未来と早乙女太一が対峙する所。無界の里が襲われる所。ここで終わってもいいんじゃね、と思ったほど。(その後、ぐっときたシーンはほぼ全て主役が空気であった)

・勝地涼、本当に頑張ったと思う。彼のやった役は、橋本じゅんのために当て書きされたかのような役で、ファンも多い。五右衛門以上に難しい役だったのではないか、と思う。
こういっては何だけど、彼に、小栗旬のようなブランド力はないし。

一幕目の彼は、じゅんさんを凄く研究していて、コピーと言ってもいいほどだった。悪くはなかったけど、なんだか哀しかった。悪くないだけに、哀しかった。
だってこんなに熱演しているのに、この兵庫だと、どうしても「じゅんさんを期待してしまうけど、思ったほど悪くはない」以上にはならないから。似ているだけに。
彼には、彼の兵庫が有るんじゃないかな、と思った。彼が「じゅんさんの演った兵庫」をそのままやるには、彼の顔はちょっと甘すぎるんだと思う。

だけど、二幕目になって、変わった。
彼の兄が、彼の事を「あんなひょろひょろした奴、器じゃねえんだ(大意)」っていう。そのあたりから、何となく、変わった。
「橋本じゅんと言う、この劇団の人気俳優が演じたあたり役」は、まさに勝地涼にとって「大きすぎる器」に見えた。器じゃないだろう、と言う役に必死に食らいつく、それが農民でありながら侍騙って子分引き連れて歩く「兵庫」に重なった。

無界の里で子分の死体に向かって
「おい!起きろ!何やってんだ!起きろって!」というところ。最初のうちは、橋本じゅんだった。でも、起きない子分にむかって、だんだん声に涙を含ませて「起きろ…起きろよ、起きてくれよぉ!」と言うあたりは、完全に子供で、子供が一生懸命虚勢を張って頑張っていて、よかった。あそこから、兵庫は勝地涼の兵庫になった。

凄く、信頼できる役者だ、と思った。