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今日読んだ本のことを語る

『凍』沢木耕太郎、新潮文庫

山野井泰史は偉人だが、妙子はその上を行く超人だと改めて思う再読。彼女が持病がなく、高所でもばりばり食べていたら、世界の壁の登攀史はどうなっていただろう。そんなことを考える。そしてそんな夫妻の世界をここまで書いた沢木耕太郎もすごい。リアリティーとユーモアに、ページをめくる手が止まらない。

「同じ病院に小指を詰めた暴力団員が入院していた。あまり痛い、痛いと大騒ぎをするので、看護師が言ったという。『小指の一本くらいでなんです。女性病棟には手足十八本の指を詰めても泣き言を言わない人がいますよ』」

もちろん凍傷でね。